百貨店高騰!アフターコロナにらむ株式市場 小売株の潮目は変わったか?

椎名則夫(アナリスト)
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株価が冴えないドラッグストア・ホームセンター・食品スーパー

ウエルシアホールディングスは17%の下落
ドラッグストア、ホームセンター、スーパーマーケットのコロナ禍で株価高騰した業態は、アフターコロナを先取りした株式市場において大きく売られている。

  下落率の高い銘柄の顔ぶれは次の通りです。

  • クリエイトSDホールディングス▲17% 
  • ウエルシアホールディングス▲13%
  • ライフコーポレーション▲12%
  • DCMホールディングス▲11%
  • セリア▲10%
  • ヤオコー▲9%
  • ワークマン▲9%
  • コスモス薬品▲9%
  • アスクル▲8%
  • ニトリホールディングス▲8%

  これらの多くはコロナ禍によるさまざまな特需の恩恵で足元までの業績が堅調な企業です。それにもかかわらず株価が下げているのは、コロナ禍の終わりが見え始め、「アフターコロナ」において消費者の行動制約が解かれると、彼らの売上高の逆風になると株式市場が考えているからでしょう。百貨店株の上昇と表裏の関係にあるわけです。

2021年は2020年の揺り戻しになるのか?

  こうしてみると、2021年の株式市場ではアフターコロナを念頭に2020年の揺り戻しが進んでいるように見えます。

  ドラッグストア業態については、人の移動が増えることで処方箋取り扱い枚数の増加や医薬品・化粧品等の需要増があるものとみています。その一方で気になるのは、「ホームセンターの株価の調整がどこまで続くか」です。さきほどDCMを取り上げましたが、このほかで堅調だったのはナフコ+2%、島忠+0.2%の2社にとどまり、コメリ▲2%、ジョイフル本田▲9%、コーナン商事▲10%、アークランドサカモト▲11%など、概ね下落しています。

  ホームセンターの場合、コロナ禍対応商品の需要が落ち着いていくことに加えて、ステイホーム関連商品は準耐久財が多く買い替え需要がすぐに発生するとは考えにくく、アフターコロナ下で売上の苦戦は免れない気がします。

  しかし、ここは利益率の引き上げを通じて利益額をいかに凹ませないのか、各社の腕の見せ所です。利益率管理の巧拙が、今後の業界再編において主導権を握る企業と握られる企業をいずれ峻別していくのではないでしょうか。

  2月、3月に本決算を迎える各社がどのような新年度の計画を示すのか、大いに注目したいと思います。

  日経平均が最高値を更新する日には、ホームセンター業界の資本効率が現状と比べて見違えるほど改善しているに違いありません。

 

プロフィール

椎名則夫(しいな・のりお)
都市銀行で証券運用・融資に従事したのち、米系資産運用会社の調査部で日本企業の投資調査を行う(担当業界は中小型株全般、ヘルスケア、保険、通信、インターネットなど)。
米系証券会社のリスク管理部門(株式・クレジット等)を経て、独立系投資調査会社に所属し小売セクターを中心にアナリスト業務に携わっていた。シカゴ大学MBA、CFA日本証券アナリスト協会検定会員。マサチューセッツ州立大学MBA講師

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