値上げ時代、スーパーマーケットが取るべき価格戦略とそのための仕組みづくりとは何か?
ローコスト運営の仕組み化が急務
値上げが避けられないなかで顧客の価格に対する見方がシビアになっていくという困難な状況下で、食品小売各社はどのように低価格を実現していけばよいのか。小手先の値下げでは継続が難しく、いたずらに利益を圧迫してしまうだけである。重要なのは、低価格を持続可能にするローコスト運営の仕組みをつくったうえで、浮いた原資を価格に還元する「ディスウンティング」の技術を確立することだ。
具体的には、価格政策をEDLP(エブリデー・ロープライス)に切り替え、売上と作業量を平準化し、オペレーションコストの低減分をさらに売価に反映させる考え方が基本となる。それ以外にも、やるべきことは多岐にわたる。
たとえば、店舗運営面では、すでに多くの企業がセルフレジやセミセルフレジを導入している。また、従業員が複数の部門を兼ねる人材の多能工化に取り組む企業も増えてきたほか、生鮮や総菜の店内作業をプロセスセンターに移行する動きも活発化している。そのほか、以前からローコスト運営に強みを持つディスカウントストア(DS)がよく活用しているジャンブル什器をはじめとする各種省力什器の導入も参考になるだろう。こうした取り組みは、人件費の抑制や作業効率化のうえで有効な施策の一部だ。
中長期的な経費削減の観点では、店内照明を節電効果のあるLEDに変更することも効果を発揮するだろう。また、平和堂(滋賀県/平松正嗣社長)は総菜部門で値上げの影響が大きい油を再利用するフィルターを導入し、コスト低減に努めている。
商品政策面では、自社開発により価格をコントロールしやすく、粗利益を確保しやすいプライベートブランド(PB)を強化するのも一手だ。大黒天物産(岡山県/大賀昭司社長)は、自社PB「D-PRICE」を価格訴求の軸に据え、売場で大きな存在感を与えている。メーカーに製造を委託するだけでなく、自社でも製造・輸入機能を持つことによって、利益面で大きな優位性を確保しているのが同社のPBの特徴だ。
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