コアCPI、12月は+0.5% 値上げ浸透なら4月以降2%到達との声

ロイター
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千葉のスーパー
1月21日、総務省が発表した2021年12月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は100.0と、前年同月比0.5%上昇した。千葉市のスーパーで2020年5月撮影(2022年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 21日 ロイター] – 総務省が21日に発表した2021年12月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は100.0と、前年同月比0.5%上昇した。

原油高や円安でエネルギー価格の伸び率が前月より拡大する一方、宿泊料の伸びが鈍化してコアCPIの伸び率は前月から変わらなかった。企業の価格転嫁の進捗によっては、携帯電話通信料の影響がはく落する4月以降、コアCPIが日銀の政策目標である2%に届く可能性があるとの指摘がエコノミストから出ている。

電気代40年ぶりの伸び、ガソリンは市況安が波及

ロイターがまとめた民間予測は前年同月比0.6%上昇で、伸び率は予測を下回った。

12月のエネルギー価格は16.4%上昇と、前月の15.6%上昇から伸び率が拡大。2008年8月以来の伸び率となった。

内訳では変化が見られた。電気代が13.4%上昇、都市ガス代が13.7%上昇でいずれも1981年3月以来の上昇率となる半面で、ガソリンは22.4%上昇で前月の27.1%から伸び率が縮小した。ガソリンは市況の反映が他のエネルギー項目より早く、11月の原油安を受けて伸びが鈍化した。

宿泊料は44.0%の上昇。政府の観光需要喚起策「GoToキャンペーン」の反動で高水準の伸びが続いてきたが、20年12月に一部地域が対象から外れたことで、伸び率は前月の57.6%上昇を大きく下回った。

家庭用耐久財は2.9%下落し、前月の0.3%下落より下落幅が拡大。家電メーカーの新製品投入時期が21年は例年より前倒しされたことが影響しているとみられる。

携帯電話の通信料は53.6%下落。総合CPIの寄与度でマイナス1.48ポイントとなった。

12月の総合指数は前年同月比0.8%上昇と、前月の0.6%上昇から伸び率が拡大した。19年12月以来の伸び。北海道での不作でたまねぎやじゃがいもが値上がりするなど生鮮野菜が上昇した。生鮮食品およびエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)は0.7%下落した。

同時に発表された2021年平均のコアCPIは99.8となり、前年比0.2%下落。2年連続のマイナスとなった。コアコアCPIは0.5%下落し、11年以来のマイナス幅となった。

 

企業横並びで値上げなら物価2%到達も

コアCPIは、携帯電話通信料の大幅値下げの影響がはく落する4月以降、伸び率が大幅に拡大するとみられている。UBS証券の栗原剛次席エコノミストは、現時点では今年第2四半期に前年比プラス1.1%と予想しているものの「アップサイドリスクがあり、1.5%近辺かそれ以上になってもおかしくはない」と話す。

焦点は企業の価格転嫁がどの程度広がりを見せるか。栗原氏は「消費者のインフレ受け入れ態度がそこまで悪くなければ、企業の横並びの値上げによって日銀が目標とする2%に到達する可能性は十分にある」とみている。

もっとも、今回の物価高は財価格の上昇が主因のため、物価上昇は一時的にとどまるとの見通しを示した。

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