第17回 マスアイテムの育成方法

日本リテイリングセンター シニア・コンサルタント 桜井多恵子
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スーパーマーケット再創造

バイヤーの任務とは
お客に有利な品を選ぶこと

 前回述べたとおり、大量に売れるマスアイテムの数が多いスーパーマーケット(SM)の客数は増え、同時に買い上げ点数も増える。マスアイテムの目安は1店、1日300個以上売れることだ。お客が目的買いをする商品を数多く育てることこそ、本格的な寡占化の時代に突入したSM業界で勝ち進む決め手となるのである。

 マスアイテムを育てるには対象を絞らねばならない。客層が広く購買頻度が高いベーシック商品だからといって選択肢を必要以上に増やすと、販売量がSKUごとに分散する。そうなるとマスにはならないからだ。SKUが多いほうがそれぞれの数が少なくても合計すれば総販売数は多くなると考えがちだが、実際にはそうはならない。合計してもマスアイテムの販売量に届かないことのほうが多いのである。

 その理由は、SKUごとの品質の違いがお客にわからず購買決定に時間がかかり、購入を諦める例が増えるからだ。また違いがわからないと、とりあえず最低価格の品を購入して問題を解決することになりやすい。購入後も使用後もその選択が正しかったのか疑問が残るために、その店の信用度は高まらない。それでは固定客は育たないのだ。

 もちろん同じように見えても、用途や機能や品質がほかの品とは異なり、お客にとって有利なものなら話は別だ。そしてその違いがお客に知らされているなら売れるはずである。しかしそれらの違いが明確でない単なる重複品なら、その中からお客が購入するのは1つだけだから、幅広く扱えばお客を迷わせるだけでマイナス効果にしかならない。

 だからバイヤーは、世の中に供給される数多くの重複品の中からお客にとって最も有利な品であり、同時に自社の利益に貢献する商品を選んで品揃えに加えねばならない。入手可能なすべてのものを選別せずに扱うのは容易だが、有利な条件で選ぶのは簡単ではない。しかしそれがバイヤーの職務である。

パブリックスのPBのじゃがいも
購買頻度が高いものは農産物もPB化している。よく売れるため低価格と安定供給が欠かせないからだ。写真のじゃがいもでは、それぞれ品質と使用目的の違いを商品パッケージに明記してある。同一品種で複数の品目を扱うならこの対策は不可欠だ(パブリックス)

 本来バイヤーは店長を経験した40代のベテランが担う職務である。非食品フォーマットの企業の多くがそうなのだが、なぜかSM企業のバイヤーは30歳前後のキャリア不足の人が多い。だからお客のニーズを突き詰めることなくベンダーの意向にしたがうことになるのだ。

 先に述べたように、マスアイテムを増やすには対象を絞らねばならない。ナショナルブランド(NB)商品は取り扱いが多すぎる。

 すべてのブランドを網羅した品揃えをよしとするSMが多いなかで、ディスカウンティング型のSM企業はブランドを選んで品揃えをする。そうすることで建値制の契約でも最終的には仕入れ原価を下げられる。だからディスカウンティング型SMは常時安売りができるのである。

1品大量販売のために商品を絞る

ウォルマートのグロサリーの棚
アメリカのSMのグロサリーの棚では、1品大量陳列が目立つ。取り扱うブランドを絞り、大量に売れるものは陳列数を多く確保しているからだ。だからお客は目的の品が短時間で発見できる(ウォルマート)

 1品を大量販売できる品揃えを実現するには、

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