「1日100食」しか販売しない佰食屋がこれ以上働かないために決めた信念

2020/05/27 15:59
佰食屋 中村朱美

「1日100食」しか売らない売上至上主義と決別し国産ステーキ丼専門店「佰食屋」。どんなに売れても100食という制約が労働時間短縮で残業ゼロ、フードロスでの経費削減、給料は百貨店並み―と既存の飲食店のビジネスモデルや常識を一変させた。その仕組みの根底にあるのは、これからいかに働き方をいかに変えていくかへの問いかけでもある。創業者、中村朱美氏の著書「売上を、減らそう。」からその一部をお届けする。

ファミレス レストラン
売上至上主義、長時間労働が当たり前ともいえる飲食業界。「1日100食限定」佰食屋が目指したのはその真逆のビジネスモデルだ

「これ以上は働かない」は最適解

 いま、さまざまなところで「人生100年時代」という言葉が飛び交います。現に、すでにそういう時代になっていると言えるかもしれません。

 60歳で定年しても、まだまだ働ける。年金受給がはじまる 65 歳までのブランクを埋めるべく、元の会社で再雇用されたり、シルバー人材センターで仕事を探したり……。それでも「この歳で新しい仕事が見つかるだろうか」「お金は足りるだろうか」と、不安は尽きません。

 そして、多くの人が求めているのは、「年商数百億を稼いで、会社を成長させていく」でも「年収数千万をかせいで、立派な家と車を買い、贅沢な暮らしをする」でもありません。もっと穏やかな成功……自分が「欲しい」と思ったものを、無理なくボーナスで買えたり、毎月ちょっとおいしいものを食べにいったり、いまの暮らしがほんの少しよくなれば、ラクになればいいな、という、等身大の願いのはずです。そんな人にとって、佰食屋の「これ以上は売らない」「これ以上は働かない」と決めるビジネスモデルは、きっと最適解なのではないでしょうか。

・働き方を極限まで絞ることで売上を上げているお店

・働き方の形は自分の人生に照らし合わせて決めることができる

 まさに、この 2 つを体現しています。

 けれどもそれは、なにも働くことを忌み嫌うことではありません。あらかじめ決めた業務量を、時間内でしっかりこなし、最大限の成果を挙げる。そして残りの時間を、自分の好きなように使う、ということです。

 もはや、かつて「当たり前」とされていた働き方は、過去のものとなりました。定年まで勤め上げれば、退職金をもらえ、潤沢な厚生年金を受け取ることができました。転勤を命じられても、勤め続けさえすれば、出世やポストを約束してもらえる。だから、どんなに長時間労働でも、単身赴任になっても、文句 1 つ言わずに働き続けてこられたのです。

 けれどもいまや、どうでしょう。我慢し続けて、やっとそれなりに給与をもらえて、役職に就くこともできた途端に、リストラに遭ったり、会社が倒産したりしてしまいます。つまり、これまでの働き方は、決して「持続可能」なものではなかったのです。

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