ピンチの登録販売者、その「組織」と「個人」

玉田慎二(医薬コラムニスト/ジャーナリスト)
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最重要ミッションは
「プロフェッショナルとしての存在になること」

 第2類と第3類は全OTC市場の9割を超える。その市場を担うのは登販。OTC販売に対しては、薬剤師以上に生活者から信頼・支持を得る、その役割を生活者から認知してもらう──。こうした環境をつくることこそがいちばんのプライオリティ。「そうだ、登販に聞いてみよう」などと気軽に生活者が思いつく、そんなプロフェッショナルとしての存在にまで上り詰めることが最重要ミッションだ。

 そもそも、登販「不要論」が湧き起ってしまった背景には、OTC販売において登販の存在が希薄なところに原因がある。

 厚労省担当官も登販不要論の噴出は、専門家による情報提供や相談応需が重要にもかかわらず「ほとんど実施されていないため、登販の必要性を感じられず、遠隔でも販売可能と安易に思われてしまう」と指摘し、警鐘を鳴らしている。

 薬剤師不在問題に端を発して誕生した登販制度が、生活者から「不要」と“三行半”を突きつけられる前に、自らの「職能」に目覚め、日々「研鑽」し、「政治力」も備える、そんなブレークスルーを経て初めて、医療・医薬業界のなかでプロフェッショナルとして認められる。

 連載の最後に、ある厚労省官僚トップが学会で薬剤師に向け語った言葉を紹介する。

 「顔が見えるだけでなく、腕が見える。コイツは使えると相手からわかる。そして、大事なのは腹が見えること。いろんな意味で大丈夫とわかってもらうことだ」

 薬剤師だけでなく登販にも通じるメッセージだろう。顔を見せるだけでなく、知識に裏打ちされた技術を駆使し、お腹の底から仕事に取り組む。そんな登販が増えれば、案外簡単に「不要論」など打ち消せる。

●連載「忍び寄る登録販売者『不要論』」
第1回 忍び寄る登録販売者「不要論」 新資格に突き付けられた最大の危機とは
第2回 JACDS代表も反対せず…厚労省検討会で露になった登録販売者「不要論」
第3回 厚労省が誓約書を要請……阻止できなかった登録販売者「不要論」のウラ事情
第4回 「不要論」跋扈の登録販売者、その誕生秘話
第5回 諦めない業界団体、登録販売者「不要論」へ起死回生の一手!?

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