JACDS代表も反対せず…厚労省検討会で露になった登録販売者「不要論」

玉田慎二(医薬コラムニスト/ジャーナリスト)
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登録販売者(登販)資格の保有者はすでに30万人にも達するが、「不要論」が跋扈してしまう背景には何があるのか──。厚生労働省の「医薬品の販売制度に関する検討会」(販売制度検)の議論をオモテとウラから探ると、その理由は透けて見える。
本稿は全6回からなる短期集中連載「忍び寄る登録販売者『不要論』」の第2回です。

Semen Salivanchuk/iStock

第4回販売制度検で滲み出た登販「不要論」

 2023年2月22日から始まった販売制度検の議論は、11月30日の会合で10回を数えた。12月18日の最終回会合で報告書をまとめる予定だ。「デジタル技術を活用した医薬品販売業のあり方」のほかにも「医療用非処方箋薬の零売」や「濫用の恐れのある一般用医薬品(OTC)」「要指導薬のオンライン販売」「新たな医薬品分類」などについて、薬機法改正を見据え方向性を示す。

 そのなかで登販「不要論」が滲み出ているのが、デジタル技術活用の販売業のあり方だ。新設を予定する「受渡店舗」に“闇”が潜む。管理店舗とオンラインで紐付けられる受渡店舗には、専門家の常駐を要件には課さない方向だ。ここに登販不要論が醸し出される。受渡店舗では第1類のOTCや濫用の恐れのある医薬品を含め、ほとんどのOTCの扱いが可能となる。コンビニエンスストア(CVS)などの小売店が受渡店舗として指定を取得すれば、CVS業界がOTC販売で最もネックとしている専門家=薬剤師や登販の雇用が軽減される。すなわち、登販不要論だ。

デジタル技術を活用した遠隔販売の業務フロー(出所:厚生労働省 第10回医薬品の販売制度に関する検討会 資料5 とりまとめ案19ページ)

 この受渡店舗が最初に議論の俎上に載ったのが、5月17日の第4回会合だった。厚労省は「資格者の遠隔管理の下、医薬品の保管管理及び管理店舗で販売した医薬品の受渡のみを行う」といった説明を付け、イメージ図を示した。突然の具体的な提案だった。調剤薬局チェーンを代表する委員は「いきなり遠隔で管理するという提案」と戸惑いを隠さず、日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)の代表も「デジタル販売をしてCVSで手渡しすることを前提とした許容条件に違和感を覚える」と不服を訴えた。

 一方、厚労省は、将来の人口減少などによって専門家の常駐が困難となる場合を想定し、デジタル技術を活用した医薬品アクセス確保の「事前準備」と説明。規制改革会議が示す問題意識を、そのまま制度設計の前提とする姿勢を明らかにした。

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