九州の名物ホームセンター、ハンズマンは大阪進出で何をねらう?

高浦佑介 (ダイヤモンド・ホームセンター編集長)
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宮崎県を本拠に九州で11店舗のホームセンター(HC)を展開するハンズマン。同社は2021年中に、大阪府松原市に敷地面積約1万坪の旗艦店舗を出店する。2012年11月オープンの宇宿(うすき)店(鹿児島県)以来で、九州以外に出店するのは初めてとなる。大阪進出はハンズマンの全体戦略の中で、どのような位置づけなのだろうか。大園誠司社長に聞いた。

ハンズマン菊陽店
ハンズマンは21年、大阪府松原市に旗艦店舗を出店する

「なんだこのお店は!」という店にしたい

——どのような店舗にしようと考えていますか。

大薗 図面はもうほぼできあがっている。ある程度コンセプトを固めて、それが実現できると思わなければそもそもゴーを出さない。

 ハンズマンで最大の売場面積の店舗になる。それを生かし、在庫置き場をもっと拡充させたい。

 これまでの既存店舗は在庫面で少し無理している点がある。例えば、お客さまが100個単位で買いたいと思っている商品でも50個しか在庫がない、ということもある。それを200個置ける売場にする。そうするともっと迫力があって、使い勝手の良い店舗ができる。

「なんだ、このお店は!」と思わせる店舗にしたい。

——以前から九州以外への出店を考えていましたか。

大薗 はい、ただ周囲には言ってなかった。少し前までは福岡県でずっと探していた。しかし、なかなかでてこなかった。それで、広島県や岡山県でも探し始めた。7年間で1000件くらいの提案があったが、立地が満足できなかった。

 われわれは立地が良くないと力を発揮できない。だから出店しなかった。

 今回の大阪府の話は立地が良かった。ここで出店しなければ、ハンズマンはもうどこにも出店できなくなると思うくらい。将来を考えるとここで出るしかないと考え、決断した。

 昔は九州のリージョナルチェーンをめざすと言っていた。でもあの頃からずいぶん考えは変わった。今や多くの日本企業が世界に進出している。「大阪なんてすぐ近くだ」と思うようになった。

販売力を高めて全国展開も視野に

——出店するエリアではコーナン商事(大阪府/疋田直太郎社長)を筆頭に、多くのHCがあります。

大薗 たしかにたくさんある。ただ、商圏人口で売場面積を割ったら、九州と大阪はたいして変わらない。商圏人口は大阪の方が圧倒的に多いが、そのぶん店舗数も多い。

 しかし、大阪にはまだハンズマンがない。これまでの既存店の実績を見ると、いくつものHCを飛び越えてお客さまはハンズマンに来てくれる。日ごろからHCを使っている人ほどハンズマンがほかのHCと違うということがわかるだろう。それが自信になり、出店を決意できた。

——物流はどのようになりますか。

大薗 もともと北海道も含め、全国各地から仕入れているからあまり心配していない。広島以東の取引先はむしろ喜んでいるし、大阪を拠点とするサプライヤーも多い。今、九州にしかない取引先と一緒にどうやっていくか考えているが大きな問題はないと思う。

 一方、輸入品の物流拠点は宮崎県の都城にしかない。これから大阪にも拠点をつくることになるだろう。

——すると、大阪での多店舗化も視野に入ってきますか。

大薗 いま決まっている話はないが、大阪に1店舗出したら、その周辺で増やすのがいいだろう。次も大阪と決めているわけではないが、大阪にはいい立地が結構あるように思う。

 今、ハンズマンに足りないのは販売力。お客さまの要望にもっと応えようとすると、今ない商品をメーカーと協力してつくり出すことが必要だとつくづく思う。そういう商品をつくれるくらいの販売力がほしい。つくりたい商品のアイデアはたくさんある。でもそれを実現できないのがくやしい。

 だから、将来的に全国に店舗を広げていこうと思っている。そうしないと夢がない。

※「ダイヤモンド・ホームセンター10月15日号」では、ハンズマンの企業特集(8ページ)を掲載しています。
https://www.drm-onlinestore.com/products/detail/676

 

記事執筆者

高浦佑介 / ダイヤモンド・ホームセンター編集長

2010年東京大学文学部卒業、12年同大学院修士課程(社会心理学)修了。14年ダイヤモンド・リテイルメディア入社。『ダイヤモンド・チェーンストア』誌の編集・記者を経て、19年4月より現職。

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