コロナ禍でも業績堅調! コメダHD、急成長と圧倒的高収益の秘密

棚橋 慶次
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1968年の創業以来ずっと中京エリアで店舗を展開してきたコメダ(現コメダホールディングス:愛知県)が、関東1号店の「横浜江田店」をオープンしたのは2003年のこと。独特の「名古屋式喫茶店」スタイルが関東人には物珍しかったのか、いつ行っても店は大混雑だった。
関東進出のエポックとなるべき場所も、おしゃれとはとてもいえない、一般的な住宅地だ。横浜市民ですら「江田」と聞いても「東名の江田バス停」ぐらいしか思い起こさないことだろう。そんな立地を選んだところにも、「庶民派」を自認するコメダの独自性が感じられる。
それから20年近くが経ち、「コメダ」の名もすっかり全国区になった。2019年には47都道府県すべてに進出。海外への出店も果たしている。本稿では、コメダはなぜこれほどの成長を遂げることができたのかを見ていきたい。

コメダ珈琲
gettyimages/winhorse

コロナ禍を耐えしのぎ、売上は堅調

 国内のカフェチェーンの店舗は、1位が「スターバックス」で1771店舗(2022年9月末)、2位が「ドトール」で1273店舗(2022年10月末)、3位が「コメダ珈琲店」で950店舗(22年5月末)、4位が「タリーズコーヒー」で759店舗(2022年7月末)と、「スターバックス」を筆頭にトップ4がしのぎを削っている。

 このトップ4の中で、トップのスターバックスと並んで、今後のカフェマーケットの牽引役になると言われているのが3位の「コメダ珈琲店」だ。

 なぜ、「コメダ珈琲店」なのか。その理由の1つが「成長性」だ。

 コメダホールディングス(愛知県:以下、コメダ)が上場したのは2016年6月こと。2015年2月期以来、コメダは堅実に売上を伸ばしており、コロナ禍が直撃した2021年2月期も対前期比7.8%減の減収に踏みとどまった。

 外食大手が軒並み2~4割の減収に見舞われたことを踏まえると、驚異的であることがわかるだろうか。2022年3月期の営業収益は対前期比15.5%増の333億円、これは2015年2月期対比で7割以上伸びたことになる。

我が道を行くスタイル

 理由の2つ目は「マーケティングの独自性」だ。

 「スターバックス」と「タリーズコーヒー」は、
・店舗で抽出したコーヒー
・セルフサービス
・デザイン性にこだわった店舗レイアウト
・高い回転率を促す椅子やテーブル
・絞り込まれたフードメニューと充実したドリンクメニュー
・都心はターミナルなどの駅近立地、郊外は国道やバイパス沿いの立地
 などを特徴としている。圧倒的なブランド力を持つ「スターバックス」はさておき、「タリーズコーヒー」が独自性を発揮しているかと言われると、そうとはいえない。

 「ドトール」は低価格型のセルフサービス店だが、同様のカフェ店は市場に飽和しているうえ、コンビニコーヒーとも競合する。

 その一方でコメダは、自宅のリビングや、オフィス会議室の延長として使う「気軽な喫茶店」という独自のポジションにある。創業者・加藤太郎氏が、こだわり続けてきたスタイルだ。

 まず、「コメダ珈琲店」は一般的な喫茶店と同じように店舗スタッフによるフルサービスを基本とする。立地も「ターミナル以外」の駅、郊外なら「幹線道路沿い以外」の場所に出店することでコストを抑えている。

 店内は特別におしゃれというわけではないが、くつろぎやすいソファやテーブルでゆったりと長居できるつくりになっている。

 コーヒーは工場直送でクオリティを均等に保つものの、淹れたてにはこだわらない。その一方でフードメニューは段違いに充実しており、量も多い。喫茶店ならでは「モーニング」のメニューも豊富だ。

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