店舗を活性化、めざすは「お客さまにとっての地域一番店」=東急ストア 須田 清 社長

聞き手:小木田 泰弘
構成:田中 浩介
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今秋、約2年半ぶりに新規出店

──さて、今後の成長戦略について教えてください。

須田 先ほどお話したように、まずは既存店の改装を進めていきます。当社は売場がしっかりしていれば、売上高を伸ばすことができる素地があります。東急沿線の駅ビル内や駅前に多くの店舗を展開する優位性や、東急のブランド力を生かすことができます。今までこうした強みを十分に生かし切れていなかったと反省しています。

 そして、成長戦略には新規出店が欠かせません。今秋には、11年3月に開業した「二子玉川ライズ東急ストア」以来、約2年半ぶりに田園都市線の「高津」駅前に出店する予定です。これを皮切りに継続的に出店したいと考えています。

 出店エリアは東急沿線です。東急線沿いには約100の駅がありますが、当社が駅ビル内や駅前に出店しているのは40数駅しかありません。まだまだ出店する余地があり、現在は出店の候補地を探しているところです。

 ただ、当社のSMの標準的な広さである300?400坪を確保できる場所は多くないので、小型の店舗を軸に出店を進めていく考えです。すでに小型店「フードステーション」を、「西小山店」(売場面積175坪)と「大倉山店」(同106坪)の2店舗展開しており、いくつかの実験をしています。そのノウハウの蓄積を、今後出店する小型店に投入していくつもりです。

──ネットスーパーは、事業拡大を進めていくのですか。

須田 ネットスーパーの売上高が対前年比7割アップとなる店舗もあり、利用者は着実に増えています。しかし、収益面で貢献するまでには至っていません。今後は、東京急行電鉄(東京都/野本弘文社長)が展開する見守りサービスやリフォーム相談など、ホーム・コンビニエンスサービスを提供する「東急ベル」や、東急百貨店の通販事業と連携し、効率化を図る考えです。

 この3月1日には、営業統括本部内に「グループ事業推進部」を設置し、同事業部内にネットスーパーの担当部署を移管しました。まずは、東京急行電鉄との連携を強化し、新規顧客獲得のための施策を立案、実施していく方針です。

──少子高齢化が進む中で、どのように企業規模を拡大していく考えですか。

須田 小売業を取り巻く環境はより一層厳しくなるでしょう。人口減少で胃袋の数が減り、高齢化でその大きさが縮小していく。それにもかかわらず、SMだけでなく、コンビニエンスストアやドラッグストア、ディスカウントストアの店舗数は増え続けています。

東急ストア代表取締役社長 須田 清

 こうした中で生き残っていくためには、これから増加していくシニアの方々のニーズに合わせた商品政策(MD)が必要となります。

 当社の商圏には、定年退職後もある程度の資産を持ち、悠々自適な生活を送るシニアの比率が高いというデータもあります。当社としてもそれに合わせたMDを構築している最中です。

 当社としては、POSデータとハウスカードのデータを組み合わせ分析し、シニア向けの品揃えに生かしていく考えです。

 

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聞き手

1979年生まれ。2009年6月ダイヤモンド・フリードマン社(現ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。「ダイヤモンド・チェーンストア」誌の編集・記者を経て、2016年1月から「ダイヤモンド・ドラッグストア」誌副編集長、2020年10から同誌編集長。

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