25年度に営業利益2.3倍めざす!イオンモールの挑戦的な成長戦略とは

棚橋 慶次
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2025年度営業利益900億円へ

 さらにイオンモール2025年度に営業利益900億円の達成を目標に設定する。23年2月期計画より5割以上高い、意欲的なゴールだ。

 ここでは長期ビジョン実現に向けた最終年度の取り組みを、海外における急成長・国内における安定成長と既存モール活性化・そして次世代店舗戦略の視点から考察。あわせて社会的トレンドであるDX(デジタルトランスフォーメーション)やESG推進について紹介する。

 まず海外事業について。国内消費市場が伸び悩む中で、イオンモールは海外への出店攻勢で成長を確保する構えを見せている。この中で重視しているのが中国で、イオンモールは広東、湖北・湖南、江蘇・浙江、北京・天津・河北・河南の4エリアでドミナント戦略をとっている。伸びしろが期待できるのは内陸エリアの湖北・湖南で、2023年には湖北省武漢に、2024年には湖南省⻑沙に新店が開業する予定だ。

 既存モールの活性化に力を入れる。コロナ禍前まで、イオンモールは一貫して右肩上がりの成長を続けてきた。もちろん出店攻勢が寄与した面もあるが、既存モールの売上高も着実に伸びている。原動力となるのが、集客を産むフォーマットづくりであり、機動的な売場リニューアルだ。

 今後も、顧客体験価値の最大化をめざし、増床リニューアル・イベントやアウトドアスペースの増設などの施策を推進する。

次世代モールの構築と都市型SC事業を推進

 イオンモールは、これまで地方都市や郊外を中心に社会現象を巻き起こしてきた。「週末には家族連れでモールへ出かけ半日を過ごす」という経験をされた人も少なくないだろう。

 そんなイオンモールが今後力を注ぐのが、都市部でのショッピングセンターだ。さらにはオフィスとの複合施設のような新フォーマットにも挑戦するとしている。

 良くも悪くも、国内で圧倒的な存在感を誇示してきたイオンモールだが、長期ビジョンはイオンモールにフォーマット革新・新業態・グローバル展開といった「変化」を求めている。

 イオンモールは変わることができるのか、そもそも、私たち消費者は慣れ親しんだモールに「変わってほしい」と本当に思っているのか……。答えが出るのはこれからだ。

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