窓口問屋制とは?コンビニや食品スーパーの物流を変えた窓口問屋制を徹底解説!

読み方:まどぐちとんやせい
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窓口問屋制とは?

 窓口問屋制とは、複数の卸売業と取引を行いながら、物流機能を一つの卸売業が集中的に代行する制度である。コンビニエンスストア(コンビニ)チェーンなどでは、冷凍食品や冷蔵食品を温度によって集約して配達する方法を採用している。一定の地域ごとに適切な物流施設がない場合などは、納入各社の共同出資による共同配送センターを設置し、物流管理を行うこともある。これによって1日あたりの配送回数を減らし、さらに物流に必要なトラックや燃料等を納入各社で共同購入して自社の負担を軽減する動きも出てきている。

窓口問屋制のメリットとは?

メリットのイメージ
Advantages and disadvantages

 窓口問屋制のひとつめのメリットは、取引先は各店舗ごとに商品を配達をする必要がなくなるため、配達用トラックの削減や1台の積載量を増やすなど配達業務を効率化してコストを削減することができる。
また、小売店にとっても納品スケジュールが一本化するため、納品に対応する人員や時間のコストの削減ができ、納品管理の工数を減らすことができる。

 ふたつめのメリットは環境負荷低減であり、CO2の排出量を削減することができる。窓口問屋制はこうした環境への配慮という観点からも注目されている。窓口問屋制はトラックの台数を少なく抑えることができるため、排出されるCO2の削減につながるからである。

窓口問屋制のデメリットとは?

 窓口問屋制のひとつめのデメリットは臨機応変な対応が難しいことである。もし、それぞれの卸売が自分で小売店へ配送する場合には、日時変更など当日の急な予定変更にも臨機応変に対応できる。たとえば、配送日当日に午前中の配達予定を午後に変更するなどといった対応も可能である。しかし、窓口問屋制では複数の卸売の品物を共同で運ぶため、一部の卸売の都合で予定を変えることはできない。

 ふたつめのデメリットは荷物の追跡が難しいことである。一つの卸売が代行して荷物を運ぶ以上、その荷物を完全に自社の管理下に置くことが難しい。そのため、荷物を追跡しにくく配達状況を詳細に把握しにくい。自社で配送を行う場合は、自社の物流管理システムを活用して荷物を追跡できる。しかし、窓口問屋制においてトラッキングを可能にするためには他社とのデータ共有やシステムの連携が必要となるため、実現が難しいのが現状である。

<H2>窓口問屋制の実例

イトーヨーカドー外観
イトーヨーカ堂における窓口問屋制は1989年に導入された。 winhorse/i-stock

 窓口問屋制を採用している実例として、イトーヨーカ堂(東京都/三枝富博社長)を取り上げる。
イトーヨーカ堂における窓口問屋制は1989年に導入された。それまでは各卸売それぞれが各店舗へ個別に納品する仕組みだったため、店舗側も納品のたびに対応する必要があり負担となっていた。それを解消すべく、首都圏では窓口問屋として加工食品と菓子の有力卸売6社が指定され、各店舗に一括して納品する仕組みを構築した。

 この仕組みが1999年から2001年にかけてさらに拡大、具体的には首都圏を4つのエリアに分割し、各エリアにおける窓口問屋にイトーヨーカ堂専用の共同配送センターを建設させ、在庫管理と店舗への輸送にかかる物流全般を委託した。その結果、首都圏ではグループ会社の約180店舗に一括配送ができる体制が構築された。その後、中京や関西など対象店舗が比較的少ない地域にも共同配送センターが新たに設置され、全国で合計12カ所の共同配送センターが稼働している。

 以前の仕組みとの大きな違いは、加工食品の一括納品、売場別納品、特売品別納品などである。従来は卸売が個別に納品していたため、店舗では納品回数だけ荷受けや検品、品出しのための仕分け作業をする必要があった。こうした店内物流の効率化を図るために納品を窓口問屋に集約し、共同配送センターで商品をあらかじめ仕分けし売場ごとにコンテナに梱包するようにした。これにより店舗側での検品作業や仕分け作業の回数が減り、店内物流の改革に成功した。

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