景気回復、予断許さず=若年層の失業高止まり―中国

時事通信社
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「中国のハワイ」と呼ばれる海南省三亜のビーチ
〔写真説明〕「中国のハワイ」と呼ばれる海南省三亜のビーチ。若年層の姿は少ない=3月28日(時事通信社)

 今年1~3月期の中国の経済成長率は4.5%だった。2022年の3.0%は上回ったものの、今年の政府目標の「5.0%前後」には届かなかった。消費の回復は分野によってまちまちで、若年層の失業率は高止まりしたまま。約3年続いた「ゼロコロナ」政策が社会に残した傷痕は深く、景気の先行きは予断を許さない。

 「中国のハワイ」として知られる海南省三亜のビーチは3月下旬、観光客でにぎわっていた。省政府は観光業の回復を見越し、今年の成長率目標を地方の中でトップの9.5%前後に設定。1~2月の旅行客数、旅行収入はいずれも前年同期比で1割以上増えており、省政府関係者は「(目標達成は)可能だ」と自信を見せる。

 もっとも、市内のマリンショップに人影はまばら。女性スタッフによると、主な顧客である若年層が戻ってきていないためだ。3月の全国の失業率は5.3%だったが、16~24歳に限ると19.6%に跳ね上がる。スタッフは「旅行ができるのは、(待遇が安定しているとされる)公務員や銀行員だけだ」とこぼした。

 中国人民銀行(中央銀行)の最新の調査によると、預金者の多くが「雇用は厳しい」と回答した。習近平指導部は景気回復に向け、とりわけ消費の回復を重視する構えだが、雇用に不安が残る中、消費者が財布のひもを一気に緩めるとは考えにくい。世界経済の停滞に伴う外需の悪化や不動産市場の停滞も懸案で、指導部は難しいかじ取りを迫られている。(三亜=中国海南省=時事)

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