「Green Beans」を興すイオンのデジタル戦略に見る、ビッグリテールのDX未来予想図

山中 理惠 (Rokt 日本代表)
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改めて考える、DX戦略の中長期ロードマップ

 2023年のイオンの動向についてはGreen Beansが一番の注目ポイントです。そして、ビッグリテールのDXにおいて重要なのは、大規模な設備投資、人的投資も含めた、根本的なトランスフォーメーションを行う経営陣の覚悟です。「『できる範囲の改善』では新たな収益や売上を大規模には見込めない」というイオンの覚悟が、このDX戦略からは読み取れます。

 そして、目標数値の達成に近づける多角的な手段の準備も重要です。開発体制の強化や大規模なCFCの立ち上げ、データ分析の活用など、DXを実現するための柱は複数必要なのかもしれません。中長期的な目線では、本気でDXに投資してきた企業が勝ち組になることが予想されます。

 リテール企業は、改めてDX戦略の中長期ロードマップを描く必要がありそうです。そのためには、DXで何を実現したいのかをまず明確化することが重要です。新たな売上を創出するのか、利益率向上をめざすのか、それとも顧客接点を増やしCX改善をめざすのか。具体的な目標を決めるところからスタートしてはいかがでしょうか。

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記事執筆者

山中 理惠 / Rokt 日本代表
グローバルITベンダー、大手コンサルティングファームを経て、複数のスタートアップ企業のGTMやマーケティング戦略に携わる。その後、ITからいわゆるDXにフォーカスを絞り、デジタルマーケティングの初期からSEMやソーシャルメディアの拡大に関わる。2018年から、Rokt(ロクト)の日本代表として国内市場立ち上げと拡大を担う。
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