「流通業界は、新次元インテリジェント・リテールの時代に入った」(ラジ・ラグニサン)

2018/12/14 09:30
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 と力を込めるのは、マイクロソフトコーポレーション 小売&消費財製造部門 アジア太平洋地域担当 リージョナル・リーダー ラジ・ラグニサン氏だ。

 

 インテリジェント・リテールは、ラジ氏が所属するマイクロソフト社の造語である。小売業界は、①デパートメントストアの時代、②ビッグボックスストアの時代、③Eコマースの時代、④オムニチャネルの時代を経て、⑤インテリジェント・リテールの時代に突入したのだと言う。

 

 インテリジェント・リテールとは、同社の定義によれば、「実店舗でも、ECでも、オムニチャネルでも、あらゆるプラットフォームに、人工知能や機械学習、IoTなどのテクノロジーが導入され、活用されている小売業の新たなビジネススタイル」のことだ。

 

 だから、「小売企業はテクノロジー企業でもあるのです。成功している企業は、テクノロジーを最大限に利用しています。そして、新しい商品やサービスを顧客に提供しています」(ラジ氏)。

 

 ラジ氏は、「インテリジェント・リテールに向けての変革を今後12ヵ月から18ヵ月の間に行わないと、変化から取り残されてしまうと当社では考えています」と警告する。

 

 理由は、多くの企業の姿勢が変化しているからだ。「これまではテクノロジーの導入はCIO(最高情報責任者)に任されていました。しかし、現在はCIOだけでなくすべての経営幹部がイノベーションやテクノロジーに注目し、深く関与し始めています。彼らはイノベーションを起こして事業を変容させなければ、近い将来問題を抱えることになるとわかっているのです」(ラジ氏)。

 

 そして、「現代の若年層は、実店舗に慣れ親しんだ世代とは違います。モバイルの存在が、彼らの消費行動を含めたあらゆる行動を左右します。彼らはモバイル上に情報発信していない店舗の存在に気づくことはありませんから、当然その店に足を運ぶことはありません。もちろん彼らも実店舗に来店します。しかし、彼らが考える実店舗の存在価値や買い物の仕方は、上の世代とは異なるのです。若い世代を顧客として獲得するためにも、デジタル・トランスフォーメーションは欠かせないのです」(ラジ氏)と結んでいる。(C)

 

『流通テクノロジー』誌(2018年12月号)の「KEYMAN INTERVIEW」から抜粋。同誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌(2018年12月15日号)、『ダイヤモンド・ホームセンター』誌(1月号)、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌(1月15日号)の定期購読者向けの「ゆうメール」に同梱されます。

 

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