オオゼキはDXでどのように従業員満足度を高めているのか?
従業員のモチベーションアップ効果も
そのなかで、お店の顔と言うべきチェッカー部門のスタッフが笑顔で働けるかどうかは、本人のモチベーションによるところも大きいのが現実です。オオゼキではDXツールを通じてスタッフ一人ひとりといつでもコミュニケーションが取れる状態にし、研修担当者が研修時だけでなく、店舗の巡回時や直接指導できない時でもスタッフの仕事ぶりに対するフィードバックをするなどの環境を整えています。
また、オオゼキが使用しているツールには、感謝を伝える「星を贈る」という機能があります。この機能を積極的に活用することで、スタッフ側にも「見られている」「評価されている」という意識が働き、スタッフたちの「働きがい」や「モチベーションアップ」につながっています。
管理者側もまた、さりげない労いの言葉の積み重ねが、スタッフの業務に対するポジティブな姿勢に繋がっていると日々実感することで活力が生まれ、結果として組織力が向上します。管理者ひいては経営層は、戦略的な売場づくりや金銭的な報酬制度の整備だけではなく、自社のいちばんのメディアと位置付けられる従業員一人ひとりの働きぶりや状態を認識し、評価していくことが、消費者へ楽しい買物体験を提供する近道と捉えることもできるでしょう。
このように、店舗を本質的な意味でDXするには、現場で働く従業員一人ひとりの「働きやすさ、働きがい向上」まで想定して設計し推進すべきでしょう。それはまさに「CS(顧客満足度)」の前に「ES(従業員満足度)」の向上という店舗経営の根幹とも言える思想への回帰になります。消費者を魅了する売場にアップデートし続け、消費者への提供価値を最大化するためにはDXによるESの向上が必要不可欠であり、近い将来スタンダードな姿になっていくでしょう。
プロフィール
染谷 剛史 (そめや たけし)
1976年、茨城県生まれ。大学卒業後リクルートグループに入社。アルバイト・パートの求人広告営業を経て、営業企画・商品開発を担当。2003年、株式会社リンクアンドモチベーションに入社し、サービス業の採用・組織コンサルティングに従事。2012年に同社の執行役員に就任し、新規事業開発やカンパニー長を歴任した後、2017年にナレッジ・マーチャントワークス(現HataLuck and Person)を設立。「はたLuck」サイトはこちら