ドンキの新業態「お酒ドンキ」で3500円の「ウィスキーがちゃ」と850円のペットボトルビールがバカ売れしている事情
すべての棚が企画コーナー
「驚安」のDSで知られるドン・キホーテだが、お菓子ドンキ・お酒ドンキではとくに低価格だけを訴求しているわけではない。お菓子ドンキでは、限られた売場面積ながら「なんだこれ?」とお客の興味を惹き付けるものを数多く品揃えし、1人当たりの買い上げ点数を伸ばす戦略を採り、お酒ドンキでは前述したようなネット専売品や生クラフトビールなど、競合が取り扱わない商品を展開することで価格を下げなくても売れるような商品構成となっている。どちらかといえば付加価値型の業態だ。
しかし、ドン・キホーテに対して「安い」というイメージを持っている消費者は少なくない。現在でも1つ50円のインスタントラーメンなど価格訴求の役割を担う商品も一部取り扱っているが、「狭い店内でどのようにドンキの『安さ』を表現するかも課題の1つ」と太田越氏は話す。低価格の商品を置く場所や見せ方などで工夫してお客の関心を惹き、ほかの商品も見てもらえるような仕掛けをつくっていきたいとのことだ。
そのほか、お菓子ドンキ・お酒ドンキの課題として太田越氏は「いかにお客さまを飽きさせない工夫をするか」ということも挙げている。オープン後の売上は計画以上に推移しているとのことだが、「近隣で働く人が毎日店の前を通るなかで、どれだけ短いスパンで景色を変えられるかが重要なポイント」と太田越氏は話す。前述の「ウィスキーがちゃ」も、大当たりの高額商品は一定の期間で入れ替えている。そのほかの商品も入れ替わりが激しく、「先週置いてあった商品が次の週にはない」ということも珍しくない。「すべての棚が企画コーナーといっても過言ではない」(広報担当者)とのことだ。アミューズメント性や買物の楽しさを表現するのが得意なドン・キホーテらしい発想といえる。
お菓子ドンキ・お酒ドンキの多店舗展開は未定だが、今後は菓子や酒類に限らず、特定のカテゴリーに注力した店舗をつくる可能性はあるという。「この店舗をきっかけに、通常の既存店より狭小な物件のお話をいただくこともあるだろう。商圏に応じて、そこで本当に求められているニーズに特化した店舗には今後も挑戦していきたい」と太田越氏は意欲をみせた。