良品計画が千葉の山間部で進める、“地域活性拠点づくり”の全貌
良品計画(東京都/清水智社長)は2024年10月、千葉県大多喜町の山間部に地域体験型宿泊施設「MUJI BASE OIKAWA」をオープンした。廃校を活用した同施設は、宿泊施設のほかに「無印良品」の売店やコワーキングスペース等も併設。宿泊客は自然豊かな空間での暮らしを体験でき、地元住民は買物や憩いの場として利用できるという、双方にとってメリットのある機能を提供する。施設を通じて地域活性化を図りながら、観光客には新たなライフスタイルの提案をめざす良品計画の取り組みを取材した。
廃校の資源生かした宿泊・体験型施設
MUJI BASE OIKAWAが位置する千葉県南部の大多喜町は、人口約8000人(24年1月1日時点)の小さな町だ。総面積の約7割を森林が占める自然豊かな土地で、紅葉が有名な養老渓谷や温泉郷などには年間を通して多くの観光客が訪れる。MUJI BASE OIKAWAは24年10月、これらの観光スポットからほど近く、町の中心部からクルマで約20分の山間部にオープンした。

●所在地: 千葉県夷隅郡大多喜町小田代524-1
●営業時間: 売店9:00~18:00、ほか利用スペースによって異なる
●電話番号: 0470-62-6096
●宿泊料: A棟:60,000円~(1棟貸し) B棟各室:35,000円~(1棟貸しも可)
※人数、季節により変動あり
MUJI BASEは良品計画の宿泊事業の1つで、地域活性化を目的に、使われていない古民家などの遊休施設を活用した宿泊施設を運営している。コンセプトは「地域文化の体感基地」。施設は中長期滞在型で、宿泊を通して地域の文化や食材に触れる機会を提供し、新たなライフスタイルを提案する。
これまで、23年8月に「MUJI BASE KAMOGAWA」(千葉県鴨川市)、24年4月に「MUJI BASETESHIMA」(香川県土庄町)を開業しており、MUJI BASE OIKAWAは3カ所目となる。
MUJI BASE OIKAWAは、生徒数減少のため13年に閉校した旧老川小学校をリノベーションして開業した。MUJIBASEで廃校を活用するのは初めての取り組みだ。開校時の雰囲気や歴史を大事にしたいとの考えから、もともと校内にあった備品や設備、デザインを生かしている。

たとえば「校長室」「職員室」など部屋の案内板はそのまま利用し、玄関に並ぶ「6年生」と書かれたバケツも実際に使われていたものをインテリアとして残した。さらに音楽室や家庭科室では、開校時からある楽器や冷蔵庫をそのまま利用している。そして宿泊棟の壁には、老川小学校でバスケットボールが盛んだった過去をイメージし、実際に使われていたバスケットボールをアート作品として並べた。

施設内には教室を活用した宿泊施設2棟のほか、誰でも利用できる「無印良品」の売店、コワーキングスペースやコインランドリーを設置。卓球やバドミントンができる多目的ホールも無料で利用可能で、近隣に子供向けの遊び場が少ないため、絵本やおもちゃを揃えた子供用のスペースも備えた。家庭科室や厨房は、個人や事業者向けに有料で貸し出している。


良品計画ソーシャルグッド事業部MUJI BASE OIKAWA支配人の野村俊介氏は「宿泊施設として運営するだけではなく、地域住民をはじめ多くの方に利用していただき、交流の拠点になることをめざしている。施設を利用するいろんな方とつながりながら一緒にイベントなどにも取り組み、地域で愛される場所にしたい」と語る。MUJI BASE OIKAWAに残る数々の学校の名残は、その思いの表れだ。
地域の文化や歴史を施設内に散りばめながら、宿泊棟では良品計画ならではのライフスタイルの提案にも力を入れる。
施設内では飲食の提供を行っていないため、宿泊客は食事については外食するか自ら料理する必要がある。そのため、宿泊棟には台所を設置。食材を持ち込めば、無印良品の食器や家電用品を使って調理できる。ほかにも、従業員が手づくりしたピザ窯を使ったり、中庭でバーベキューを楽しむことも可能だ。
さらに宿泊部屋のベッドや、石鹸などアメニティも無印良品のもので、実際に使ってもらうことで商品のよさや機能を訴求するねらいもある。

無印良品の“売店”を初めて設置
MUJI BASE OIKAWAでは、廃校の活用に加え、もう1つ新たな試みがある。それが、
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