「STORE OF THE YEAR 2023」から見るホームセンターの最新トレンドとは?
上位入賞店舗に見られる
3つのトレンド
今回、上位入賞店舗に明確な共通点が見られた。それは商圏人口が密集している都市部に立地している点だ。「カインズ壬生店」を除いた9店舗すべてが都市型立地である。その中でも、とくにDCM DIY Place、「コーナンPRO世田谷八幡山店」、「サンデー仙台卸町店」の3店舗は、これまでHC企業がターゲットにしてこなかった都心部に出店している点が特徴的だ。それぞれ通常のHCやプロショップとは異なる売場づくりに取り組み、新たな需要を取り込むねらいだ。
プロ業態で業界をけん引するコーナンPROは近年、密度の濃い売場づくりに注力している。売場面積を縮小しながらも、資材・工具も含めた職人にとって必要な商材を充実させたMDを磨き、より人口密度の高いエリアに出店攻勢をかけている。
もう1つは体験型の新業態である。第1位のDCM DIY Placeは上述のとおりだが、第5位の「GREEN PICNIC糸島」はイオン九州(福岡県/柴田祐司社長)による「ただの園芸専門店」を超えたテーマパークのような新業態である。双方に共通しているのは、物販だけでなく「体験」を重視している点である。両店舗ともこれまでに類似するフォーマットが業界内にほとんどない点も革新的だといえる。両店舗は新たな需要を生み出す挑戦の一歩となるだろう。
また、新たなトレンドとして注目したいのが、環境への配慮、SDGs(持続可能な開発目標)を意識した店舗が高評価を受けているという点である。第6位にランクインした「カインズ壬生店」がその象徴で、売場づくりはさることながら、同店が評価されたのは、「CO₂フリー」であることや、100%再生可能エネルギーを活用しているという点だった。
壬生店は約20%を店舗天井に設置した太陽光パネル、約8割を木質バイオマスによる発電で賄っている。木質バイオマスは地場のエネルギー企業「エフオン壬生」から購入している。そのほか、壬生店では空調や照明を調整することで排出するCO₂量の削減にも取り組んでいる。
こういった取り組みが業界で注目を浴びるのは新たな時代の流れといえる。お客も環境にやさしい企業を選ぶ時代がすぐそこまで近づいている。