ネット型リユースの草分けマーケットエンタープライズ、年平均成長率約 20 %の秘訣とは?
マーケットエンタープライズ(東京都/小林泰士社長)はインターネットに特化したリユース品の買取・販売を行う。店舗で仕入れ・販売を行う業態が主流だったリユース業界で、2006年の同社設立以来インターネットに特化したリユース事業を展開している。
格安電池から事業をスタート
マーケットエンタープライズの現在までの歩みを見ておこう。
同社は2004年、小林泰士社長が格安電池のリユースで創業した。使えるのに廃棄されていた、使い捨てカメラ搭載のフラッシュ専用アルカリ電池に目を付け事業化した。06年には、店舗を持たずにECでリユース品を販売する「格安電池ドットコム」をスタートさせ、翌年「高く売れるドットコム」を立ち上げネット型リユース事業を開始した。
一方でフリーマーケット事業に乗り出した。インターネットで集客し、人気を博すイベントとなり、36都道府県で延べ800回開催するフリーマーケットとなった。しかし、リユース市場、EC市場の拡大を背景に、13年フリーマーケット事業を売却し、ネット型リユース事業一本に絞った。リユース、ECの各市場の拡大を背景に成長し、15年6月には日本初のネット型リユース事業を行う企業として東証マザーズへ上場。21年には東証一部(現・東証プライム)に市場変更した。
東証マザーズ上場後、取扱商材やサービス提供エリア、販売チャネルを拡大するほか、事業の多角化を進め、モバイル通信やメディアの事業を開始した。
上場後の売上高を見ると、15年6月期に39億円だったのが、24年6月期には190億円と約5倍に拡大。年平均成長率18.9%の高成長を遂げた。25年6月期には売上高230億円(対前期比21%増)を見込んでおり、23年8月に公表した中期経営計画では26年6月期に売上高300億円をめざしている。
現在の事業セグメントは、基幹事業の「ネット型リユース」、消費行動に役立つ有益情報をインターネットメディアで提供する「メディア」、モバイルデータ通信サービスを提供する「モバイル通信」の3つだ。
30カテゴリーに特化したサイト
基幹事業のネット型リユースは、総合買取サイト「高く売れるドットコム」を軸に商材カテゴリー別に分類された買取サイトを自社運営している。商材は30カテゴリーにまで拡大しており、買取サイトは、家電、家具、液晶テレビ、パソコン、電動工具など多岐にわたる。24年6月期の買取依頼は43万件、24年6月までの累計利用者数は790万人に達している。

17年2月には中古農機具の買取を開始し、現在では、中古農機具を専門に扱う2つの拠点を設け、世界80カ国以上に輸出を行っている。
買取・販売は次のような流れになっている。デジタルマーケティングで買取サイトに集客し、査定依頼を受けると、コールセンターで買取価格・方法などを提案する。実際の買い取りは宅配、店頭、出張のいずれかで行う。出張については、全国主要都市13カ所に設けたリユースセンターから訪問する。
リユースセンターは、商品査定・仕入れ・在庫管理・受注管理・商品配送などリユース品の仕入れからインターネット上での販売に至るフルフィルメントサービス(商品の仕入れから在庫管理、受注販売管理、配送に至る一連の流れ)を行うための事業拠点だ。
買い取ったリユース品は、自社ECサイト「ReRe(リリ)」のほか、ヤフー、アマゾン、楽天市場などのECサイトのマーケットプレイスで販売する。在庫データは一元化し、いずれのチャネルで売れても、在庫を消し込むようなシステムを自社開発している。


「当社の強みは在庫回転率が高いことだ。年4~6回というリユース企業は多いが、当社は17.6回と業界で高水準にある。在庫システム、売価設定、集客力などにより可能にしている」とリユースセンター統括の萩原正樹氏は話す。
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