トライアルの”都心部攻略”の成否を占う!? 「TRIAL GO 今泉店」売場レポート

雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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酒類も購入可能!顔認証決済システムがオペレーションを変革する

顔認証決済システムを取り入れたセルフレジ
顔認証決済システムを取り入れたセルフレジ

 さて、今泉2丁目店の売場以外での大きな見どころとなっているのが、顔認証決済システムを導入したセルフレジだ。事前に自身の顔と本人確認書類を登録し、トライアルの会員カードもしくは決済アプリ「SU-PAY(スーペイ)」に紐づけることで利用が可能。セルフレジ上部の顔認証カメラに顔を向けるだけで、あとは商品をスキャンするだけで決済が完了する。本人確認書類で年齢も情報として登録されるため、店員の年齢確認を経ることなく、酒類も24時間購入することができる。

 同レジは脇田店で関係者向けに運用を開始、昨年10月に「TRIAL GO 曰佐(おさ)店」(福岡県福岡市)で初めて一般向けに公開された。曰佐店ではすでに約400名が顔登録したうえで利用しているという。トライアルでは、都心部に立地する今泉2丁目店で得た、利用動向をはじめとするデータの活用・分析を行いながら、他店での導入に向けたシステムのバージョンアップを進めていく考えだ。なお、今泉2丁目店では有人レジはなく、フルセルフレジのみの導入。顔認証決済システムを利用しない場合は、現金での決済が可能となっている。

  レジに係る人時が少ないため、店舗全体のオペレーションが簡素化されているのも今泉2丁目店の特徴。店舗スタッフの業務は納品対応や品出し、店内清掃などに限られるため、日中は2人程度、夜間は1人で営業できるという。

 コンビニともミニスーパーとも異なる商品構成と価格政策、そして顔認証システムを用いた新たな決済システムと、それがもたらすローコストオペレーション――。TRIAL GOは食品小売における「小型フォーマット」の新たな境地を切り開きつつあるのかもしれない。

 TRIAL GOの今後の出店戦略については詳しくは公表されていないが、開発担当のTRIAL GO推進室CVSフォーマットリーダーの北川雅章氏は、「今泉2丁目店のような都心部を含めさまざまな立地で検証しながら、(TRIAL GOとしての)売場、MDを磨き上げていきたい」としている。

 

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記事執筆者

雪元 史章 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

上智大学外国語学部(スペイン語専攻)卒業後、運輸・交通系の出版社を経て2016年ダイヤモンド・フリードマン社(現 ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。企業特集(直近では大創産業、クスリのアオキ、トライアルカンパニー、万代など)、エリア調査・ストアコンパリゾン、ドラッグストアの食品戦略、海外小売市場などを主に担当。趣味は無計画な旅行、サウナ、キャンプ。好きな食べ物はケバブとスペイン料理。全都道府県を2回以上訪問(宿泊)。

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