値上げ続くなか大胆な値下げ策 生協が勝負に出る「くらし応援全国キャンペーン」とは

「コープソリューション新聞」編集長 宮崎元
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メーカーや生産者の負担なし
コロナ禍での収益を原資に

 キャンペーン実施の背景について日本生協連営業本部の久保田諭本部長は「21年1月頃から物価高が続き、家計への負担が高まっている。今後も物価高は続く見通しで、全国規模のキャンペーンを生協の連帯によって打つことを決めた」と話す。

 コロナ禍でのステイホームによる需要の高まりで20~21年度、生協の経営実績は大きくアップした。その収益をキャンペーンの原資として活用する。取引先メーカーや生産者への負担はない。

会見の様子
生協陣はコロナ禍で得た収益をキャンペーンの原資に投じ、生協の存在を広くアピールする考えだ

コープデリ連合会は
総額10億円を投入

 キャンペーン実施にあたり、各地の生協では、店頭、宅配のカタログ紙面で共通マークをつけてアピールする。ちなみにコープデリ生活協同組合連合会(埼玉県:以下、コープデリ連合会)では220品目を対象に、総額10億円をかけて値下げし、特別価格で提供するという。

 なお、キャンペーンを行う生協は次の32生協だ。

 コープさっぽろ、コープ東北サンネット事業連合(コープあおもり、青森県民生協、コープあきた、いわて生協、生協共立社、みやぎ生協、コープあいづ)、コープデリ連合会、パルシステム連合会、東都生協、ユーコープ、東海コープ事業連合、トヨタ生協、かりや愛知中央生協、コープ北陸事業連合(とやま生協、コープいしかわ、福井県民生協)、コープきんき事業連合、コープこうべ、コープ中国四国事業連合、コープ九州事業連合(エフコープ、コープさが、ララコープ、生協くまもと、コープおおいた、コープみやざき、コープかごしま、コープおきなわ)。

 生協陣がここまで総力を挙げたキャンペーンをこの時期に実施するのは、全国各地の生協がともに取り組むことでスケールメリットを発揮するとともに、消費者にインパクトを持って生協の存在を訴求するねらいがある。「コープ商品のよさと生協の取り組みをあらためて知っていただき、(生協を)広く社会にアピールする機会にしたい」(山田常務理事)と期待を話す。

 このように、これまで各地でバラバラに活動している印象の強かった生協は着実に連帯の動きを強めており、コロナ禍で得られた原資をいかし食品小売業界のなかでも存在感を大きいものにしようとしている。同キャンペーンの効果に注目が集まる。

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