想定の10倍売れた理由は パナソニックのシェーバー「ラムダッシュ パームイン」開発秘話

吉牟田祐司
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プレゼントとしての購入が10%以上

パームイン
空間になじむスタイリッシュな佇まい

 商品のターゲットを設定するうえで意識したのは年代よりも価値観で、訴求を狙ったのは「日常のライフスタイルにこだわりのある人」。具体的には「暮らしにゆとりがあり、日々ていねいに生活している30~40代」をイメージしたという。従来の電動シェーバーでは「ひげが濃い人」「電動シェーバーを長く愛用している人」といったターゲット設定をしがちだが、今回はそのような層を想定することはなかった。

  実際の購買データを見ると、電動シェーバーの買い替えとしてだけでなく、これまでT字カミソリを使っていた人の購入も目立つという。また、とくに上位モデルのES-PV6Aについては20代前半の社会人になって数年の世代から「一目惚れして買いました」という声が届いているほか、女性がプレゼント用に購入するケースも多く見られ、山本氏は「新しい需要を生み出せているようだ」と手応えをにじませる。電動シェーバーのプレゼント需要といえば、これまでは父の日や誕生日に限定されてきたが、同商品では発売以来10%以上がプレゼントとして購入されている。

 「従来のラムダッシュと比較すると、圧倒的に若年層の購買が多くなっている。実感する方がいると思うが、男性のひげはホルモンバランスの関係で30代あたりから年々濃くなっていく。それで40代、50代と年齢を重ねていく中で、生活にもゆとりが出て、ラムダッシュの5枚刃、6枚刃の高級モデルをお買い求めになる方が多いのだが、このパームインに関しては20代や30代前半のご購入が顕著」(山本氏)

 また販売はしないものの、商品に触れることができる場として、体験型コンセプトストアのb8ta(ベータ)、二子玉川の蔦屋家電、Panasonic Beauty OMOTESANDOなどがあったことが、インテリアやライフスタイルグッズに対する感度が高い層への訴求に奏功したようだ。

  発売の半年ほど前から大々的なユーザー調査を実施した結果として、山本氏は「オンラインなどで商品を見るだけでは、おしゃれなシェーバーが出たと思われるだけで終わってしまうかもしれない。何これ?と思わせる引きの強さはあると確信していたものの、購入まで持っていくためには、やはり実際に触れる場を設ける必要があると感じた」と話す。

 そのために「全員がお客さまになる商品ではなく、お客さまを選ぶ商品」と仮説段階で設定し、Webでのターゲティング広告との合わせ技で展開していくことにした。そうした中で、より積極的にプロモーションしていこうという機運が全社的に高まり、トレインチャンネルやタクシーチャンネル、OOHに加えて、当初は予定していなかったテレビCMも放映するようになったという。

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