SHEIN TOKYO「売らない店」現地レポート!担当者が明かす、低価格3つの理由とは

植芝 千景 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集者)
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小売の常識覆す!担当者が明かす、
SHEINが圧倒的安さを実現できる3つの理由とは

 SHEINの担当者は今後の課題について、「SHEINの安さを支えるビジネスモデルは、今までの小売産業の常識を超える複雑な内容になっており、世の中にまだ理解されていないのが現状だ。そのため今後は、なぜ当社が手ごろな値段で豊富な商品を展開することができるのかという理由を開示していく」と話す。

 この「商品を安価に提供できる理由」は3つあると担当者は説明する。「商品の少量多品種生産」「追加生産時における生産量とタイミングの最適化」「商品企画から発売の超短期化」だ。

 まず、「商品の少量多品種生産」について。

 SHEIN担当者は「SHEINは数千におよぶサプライヤー工場と、先進的なITシステムで効率よく連携している。これにより、毎日数千点におよぶ新商品について、100~200点単位での小ロット生産を実現できている」と説明する。

 2つ目の理由が「追加生産時における生産量とタイミングの最適化」だ。ECサイトが主な販売経路であるSHEINでは、各商品の販売状況をリアルタイムでモニタリングし、販売量やスピードで各商品の再生産の量やタイミングを精緻に推定している。そのため、必要な商品量だけ適切なタイミングで再生産を行う、「生産量の最適化」に成功した。

 「EC販売とオンデマンド生産による独自の供給モデルを成立させたことにより、回転率が大幅に改善され、通常25~40%といわれている余剰在庫水準を1ケタ台まで引き下げることができている」(SHEIN担当者)。

 3つ目の理由は、商品企画から発売までを「超短期化」したことだ。SHEINでは、工場付近にメガ倉庫を構え、そこから世界中の消費者に商品を直接発送している。このことにより商品企画からお客の手元に届く発売までの期間を通常2~3週間程度まで超短期化することに成功したという。

 SHEIN担当者は「このように、時間や物流における“ムダ”を徹底的に抑え、より安い商品価格を実現し、消費者に還元している」と述べた。

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記事執筆者

植芝 千景 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集者

同志社大学大学院文学研究科(国文学専攻)修了。関西のグルメ雑誌の編集部に所属後、ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。日本酒、特に関西の地酒好き。趣味は、未知のものを食べること。「口に入れてから考える」ことをモットーに、日々さまざまな食べものを味わっている。

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