原価高騰下の鮮魚戦略を専門家が提案!最適解「加工食品化」とは何か
水産物の全面的な相場高に加えロシアのウクライナ侵攻もあり、鮮魚部門にとっては、ますます売上をつくりにくい状況となってきた。この状況下で無計画にインパクトのある売価を出せば、売上は取れても粗利益を計上することは難しい。とはいえ、中途半端な売価を打ち出すと、1品単価が下がるだけで、売上も粗利も取れなくなる。こうした難しい局面を迎える鮮魚部門はコロナ後の世界をどう戦い抜くべきか、考察したい。
冷凍商品と真空包装の積極活用を考えるべき
コロナ後の水産物は、需要と供給(在庫量)によって、一時的に相場安になることはあっても、長期間にわたって安くなる可能性はほとんどない。そうした中で売上・粗利を獲得していく覚悟をする必要がある。「売れない」と嘆くより、売れている商品の中に答えを見出すことが求められる。
まずは、冷凍商品の積極活用だ。コロナ禍で来店頻度が減少する中、ロングライフ商品が重宝され、冷凍商品の売れ行きが好調である。消費者も冷凍商品の「好きなとき」に「好きなだけ」使えるストック性や便利さに慣れてきた感を覚える。事実、スーパーマーケット(SM)でも塩干し系商品が冷凍ケースで販売される例も増えてきた。そもそも、ほとんどの塩干し系商品は冷凍物流で運ばれ、在庫も冷凍庫で保管されることが多いので、販売するときのみ冷蔵ケースで販売するのは消費者目線に立っていない、とも言える。たとえば塩さばを購入する際も、霜付きと完全に溶けた商品、どちらを買い求めるお客が多いだろうか。少なくとも筆者は前者である。購入して家に帰ったら、ひとまず冷凍庫に入れる。
次に、真空包装商品の活用を提唱したい。消費者にとっては、消費期限が長いことがメリットである。また、生鮮品と違い、トレイを捨てる手間を省けるのもお客にとって嬉しい要素の1つだ。筆者は高齢のご婦人が縞ホッケ開干しを購入した後、巨大なトレイだけSMのゴミ箱に捨てて帰る、という場面を2回見た。トレイは売る側にとっては便利だが、買う側としてはゴミになるだけだ。しかし、コストを考えれば、真空包装用袋の原価が高価であることが悩ましい。
真空包装が効力を発揮した例で目立つのは「うなぎ蒲焼き」だ。相場高が続いた4~5年前には、1尾約2000円の国産うなぎが、陳列してから半数も売れない内に値下げを強いられ、最後には廃棄となっていた。ふだんの日では4~5パック販売しても1~2パック売れるか売れないかで、残りの3~4パックは値下げ、やがては半額、廃棄となってしまう。
つまり、「うなぎ蒲焼き」は
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