サムスン電子、第4四半期は営業利益34%減 先行きに慎重な見方

ロイター
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ソウルのサムスン電子オフィス
1月30日、韓国のサムスン電子が発表した第4・四半期決算は、営業利益が34%減の7兆1600億ウォン(61億3000万ドル)で、今月初旬に公表した速報値とほぼ一致した。2019年1月7日、ソウルの同社オフィスで撮影(2020年 ロイター/Kim Hong-Ji)

[ソウル 30日 ロイター] – 韓国のサムスン電子が30日に発表した第4・四半期決算は、営業利益が34%減の7兆1600億ウォン(61億3000万ドル)で、今月初旬に公表した速報値とほぼ一致した。

純利益は38%減の5兆2000億ウォン、売上高は1%減の59兆9000億ウォンで、速報値と一致した。ただ純利益は、アナリスト予想の5兆6000億ウォンには届かなかった。

第4・四半期は、主力の半導体部門の営業利益は3兆4500億ウォンと半分以下に減少。モバイル部門は67%増の2兆5200億ウォンだった。

サムスンの業績は、データセンター向け需要の不振や在庫増を背景とするメモリーチップ価格の下落で18年終盤以降、低迷が続いている。

2019年通年の営業利益は27兆8000億ウォンで、2015年以来4年ぶりの低水準。10年ぶりの大幅な減少率を記録した。

<先行きへの慎重な姿勢で株価下落>

サムスン電子は、データセンターの顧客や5G(第5世代通信網)スマートフォンメーカーからのメモリーチップ需要が徐々に持ち直し、2020年には利益が回復すると期待をかける。

サムスンは発表文で「2020年については、全般的な業績の改善を予想している。ただ、世界のビジネス環境の不透明感が続くとも想定している」とした。

これより先には、米インテルや台湾のTSMCなどの同業も、明るい業績見通しを示している。

一方、サムスンは、米中貿易摩擦に加え、新型コロナウイルスによる肺炎の経済への影響が不安視される中、需要の伸びが抑制される可能性も排除できないと指摘した。

サムスンは2020年第1・四半期について、季節的に需要が弱い時期であることから、前期比で利益減を見込んでいるとしている。

30日のソウル株式市場で、サムスン電子は約3.2%安で終了。先行きへの慎重な姿勢で失望感が広がったもようだ。

地元証券会社のアナリストは「サムスンはメモリー市場について保守的な予想を示した。回復の力強さを巡って、市場の見方と会社の認識に差がある」と語った。

サムスンの半導体担当幹部は電話会議で、半導体需要に関する不透明感を指摘。「マクロ経済や地政学を巡る懸念には最近、後退する兆しがみられるが、状況が悪化する可能性を排除できない」とした。業績に影響する可能性のある具体的な問題は特定しなかった。

<新型肺炎>

サムスン電子は、新型肺炎の需要への影響については、コメントを控えた。同社はロイターへの発表文で、中国政府の指針に従い、中国の一部工場で春節(旧正月)に伴う休業を延長したと明らかにした。サムスンは中国で、半導体、ディスプレー、家電の工場を持っている。

一方、サプライヤーのサムスンSDIは、今四半期の利益はウイルスの感染拡大から悪影響を受けるとの見通しを示した。

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