コロナ収束で曲がり角!インスタカートの新成長戦略とは
EC・ネットスーパー市場拡大の時流に乗って成長を続けてきた、買物代行大手の米インスタカート(Instacart)。現在、約750社の小売企業と提携し、およそ7万店舗からの配送やフルフィルメントを請け負っている。しかし、コロナ禍が収束に向かうなかで経営環境は大きく変化しており、今年3月の企業評価額は前年から38%下落するなど、暗雲も立ち込めている。
企業評価額は400億ドルに迫るも…
インスタカートは2012年にアマゾン(Amazon.com)のサプライチェーンエンジニアだったアプールヴァ・メータ氏が創業した。そのビジネスモデルは、①ウェブサイトやアプリのマーケットプレイス運営、②提携先の食品スーパー(SM)店内でのECフルフィルメント代行、③クルマ、バイク、電動自転車などによるラストマイル配送、である。その時すでにグラブハブ(Grubhub)やポストメイツ(Postmates)がレストランや小売店からの宅配代行サービスを始めていたが、インスタカートは生鮮食品という鮮度管理の難しい領域を開拓したのである。
創業後の経営は順風満帆とは言えず、配送員との報酬面でのトラブルやストライキ、16年に提携しインスタカートの成長を支えてきたホールフーズ・マーケット(Whole Foods Market)がアマゾンに買収されたことによる契約解除といった試練が重なった。しかし、SMにとってEC事業拡大のボトルネックだった、ラストマイル配送の“助っ人役”として徐々に重宝されるようになり、コロナ禍でのEC需要の急増も手伝って20年度の売上高は15億ドルを突破(対前年比300%)、21年末までに調達した資金は29億ドル以上、同年3月時点での企業評価額は390億ドルに達するなど隆盛期に入ったように見えた。
大量リストラとCEO交代の裏側
しかし21年度に入り、インスタカートは新たな試練を迎える。
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