ロイター企業調査:四半期決算開示の見直し、「賛成」7割

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上空から見た都内
11月11日、11月のロイター企業調査によると、岸田文雄政権が掲げる四半期開示の見直しについて「賛成」との回答が7割を占め、短期的な利益にとらわれない長期的視点での経営には「プラスに作用する」と回答した企業は6割を超えた。都内で8月撮影(2021年 ロイター/Marko Djurica)

[東京 11日 ロイター] – 11月のロイター企業調査によると、岸田文雄政権が掲げる四半期開示の見直しについて「賛成」との回答が7割を占め、短期的な利益にとらわれない長期的視点での経営には「プラスに作用する」と回答した企業は6割を超えた。一方で、四半期開示が任意になった場合でも同じタイミングで開示を続けるとの回答も6割で、企業によって判断が分かれる可能性がある。

岸田首相は、短期的な視点の経営に陥りがちな四半期ごとの業績開示を見直す方針を打ち出している。企業が長期的な視点に立ち、株主だけではなく従業員や取引先も恩恵を受けられるように経営を行うことが重要と説明している。

調査期間は10月26日から11月5日まで。発送社数は502社、回答社数は240社だった。

決算開示を見直すことについて「賛成」は70%、「反対」は30%だった。四半期決算開示が任意になった場合、長期的経営にプラスに作用すると回答した企業は63%と、全体の3分の2近くに上った。

現行での開示は「経営の大きな負担になっている。3カ月単位で大きな変動はないので、開示は無駄」(食品)といった声や、開示の見直しにより決算や開示業務に割く人員を効率化することができれば「そのリソースを本業に注力することが可能になる」(不動産)との指摘があった。

一方「開示期間にかかわらず長期的視点に立った経営をするのは当然」 (機械)といった、開示のタイミングと長期的経営を関連付けることに疑問を呈する声もある。また「投資家が四半期ごとに業績をチェックするのは当然」(サービス)という意見や、四半期開示をやめた場合「投資家への信用はなくなり、市場全体にとって逆効果」(運輸)など見直しに慎重な見方も出ていた。

賃上げ支援、法人税減税や税額控除など支持

岸田首相は、賃上げに積極的な企業への税制支援の強化を最優先で取り組むべき課題の一つとして挙げている。賃上げ促進のために有効であると思う税制政策についての問いに対する答えは、「法人税減税」が46%、「税額控除」が45%で、ほぼ同数だった。このほか、7%が「内部留保課税」と回答した。

ただ、税制支援は賃上げ促進の本質的な解決にはならないとの厳しい声も聞かれた。日本の平均賃金の上昇率が欧米と比較して低いのは「小手先の政策ではなく規制撤廃による外需の呼び込みなどもう少し大局観のある政策が必要」(化学)といった指摘や、「生産性向上を真面目に検討すべき」(輸送用機器)との意見があった。

今年度の支払い賃金総額は昨年度と比べて「横ばい」が42%で、これに「1─3%程度増加」、「3─5%増加」、「5%超増加」を合わせると計86%となった。2月調査で2021年度の賃金について調査した時点では80%だったため、必ずしも賃金が減少するとみている企業が増えているわけではなさそうだ。

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