ついに最終章!ユニクロのプレミアムブランド「+J」とは結局何だったのか?

河合 拓 (株式会社FRI & Company ltd..代表)
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+Jとは一体、何だったのか?

一体、+Jとは何だったのか。あれほどの完成度の高いブランドには不釣り合いの一連のアップダウンは、コンサルの欠点である「私の考えすぎ」。つまり、私があまりに+Jを好きすぎたため、組織にありがちな非連続性、ひらたくいえば、よくある話に無理に戦略性を埋め込もうとしてしまったのかもしれない。私があえてレディース向けビジネスを手がけているのは、私がレディース衣料に興味が無いから、つまり、一定の距離感を保てるからである。だから、冷静になれるし、分析もできる。しかし、アパレルビジネスが怖いのは、誰でもファッションについて一家言もっており、そこからビジネスとしての公平性が失われ唯我独尊に陥ってゆくことかもしれない。

都内のユニクロの店内
2020年11月6日に都内で撮影。(2021年 ロイター/Ritsuko Ando)

間違えて頂きたくないのは、それでも、ユニクロが作り上げたサプライチェーン、そして、デジタル活用をしたさまざまな内部効率化ツールや大型店舗による世界規模のプレゼンスの出し方、さらに、幾度も諦めず世界でチャレンジする勇気や飽和する日本社会で、一点単価を上げるための施策としての有名ブランド、アニメなどとのコラボ。ユニクロパークなど、体験価値の提供など、彼らがつくった衣料品を中心軸としたLife eco-systemは盤石であり、+Jが最終章を迎えようと、同社の競争優位は一歩も揺るがないということだ。

むしろ、彼らの本当の戦いは、これからのESG経営にあると私は思う。これまで、より大きく、そして、より多くの利益を生めばよしとされてきた一直線のレールから、世界からいきなり「優等生としての模範を見せよ」と言われ、気づけばZARAH&Mなどは、ファストファッションでありながら、SDGsの世界観を独自の哲学で体現してきている。

圧倒的コスパで競合他社を凌駕するビジネスモデルを作り上げた同社が、どのように世界と人類の平和、そして私たちが住む環境に貢献するか? ライフウエアというコンセプトから、私の目にはまだ「それ」は見えにくいが、いまや世界に誇れる日本企業である同社からますます目が離せない。

 

プロフィール

河合 拓(事業再生コンサルタント/ターンアラウンドマネージャー)

ブランド再生、マーケティング戦略など実績多数。国内外のプライベートエクイティファンドに対しての投資アドバイザリ業務、事業評価(ビジネスデューディリジェンス)、事業提携交渉支援、M&A戦略、製品市場戦略など経験豊富。百貨店向けプライベートブランド開発では同社のPBを最高益につなげ、大手レストランチェーン、GMS再生などの実績も多数。東証一部上場企業の社外取締役(~2016年5月まで)

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記事執筆者

河合 拓 / 株式会社FRI & Company ltd.. 代表

株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)。The longreachgroup(投資ファンド)のマネジメントアドバイザを経て、最近はスタートアップ企業のIPO支援、DX戦略などアパレル産業以外に業務は拡大。会社のヴィジョンは小さな総合病院

著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「生き残るアパレル死ぬアパレル」「知らなきゃいけないアパレルの話」。メディア出演:「クローズアップ現代」「ABEMA TV」「海外向け衛星放送Bizbuzz Japan」「テレビ広島」「NHKニュース」。経済産業省有識者会議に出席し産業政策を提言。デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言

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