計算式不要!アパレル の資金繰りを助けるOTBの使い方実践講座
競争力がある企業でも、プロパー消化率は50%未満
前回、私は日本全体の余剰在問題は政府の過剰融資の結果であり、ゾンビ企業(本来市場を退出すべき企業)がゾンビの子供を産んだ結果生まれたものの総和であると断じた。したがって、SDGsに関わる余剰在庫焼却時に排出されるCO2排出問題は、日本という国の金融市場が正しく機能し、経営失策で窮地に陥った企業には市場原理によって市場から退出してもらうことで解決することも指摘した。そして、こうした全体的、俯瞰的見地なく、単にAIなどのデジタル技術を使えば不要な余剰在庫の問題が解決するなど、課題解決論点が誤っていることも明らかにした。
一方、こうしたマクロ的観点からの考察に加え、依然、“競争力のある”個別企業の余剰在庫問題は深刻であるのも事実である。そもそも、市場で存在価値のない企業がなくなることで、解決するのは競争力のない企業の余剰在庫問題だけだ。競争力のある企業の在庫問題とは関係ないのである。なぜなら、競争力のある企業が生み出す商品と競争力のない企業が生み出す商品の価値はそもそも異なっており競争関係にないからだ。
実際、競争力があると思われる企業でさえプロパー消化率は50%を上回ることはない。今日は、なぜこの20年でプロパー消化率が下がったのか、その原因を分析し、特にOTB (Open to buy 調達調整)について、その考え方について述べたい。
間違いだらけのOTB
OTBという言葉をよく聞く。だが、これを正しく実務的に解説しているもの、運用している企業にお目にかかったことがない。OTBが正しく機能していれば論理的に余剰在庫は発生しない。
まず、OTBという言葉を初めて聞く人のために解説すると、OTBとはOpen to buy、つまり、ものを買うために(扉を)開ける、という意味だ。いわば、OTBとは、シャワーの蛇口のようなもの。蛇口を開けたり閉じたりすることで、水量調整が可能といえばイメージできるだろう。
どの解説を見ても、乾いた計算式でお茶を濁しているものばかりで、これでは実務家はどのようにOTBを活用すれば良いのか理解さえできないだろうと思う。
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