ユニー代表取締役社長 佐古 則男
衣住がけん引しアピタ好調 2020年度、営業利益200億円めざす

聞き手:阿部 幸治 (ダイヤモンド・チェーンストア編集長)
構成:森本 守人 (サテライトスコープ代表)
Pocket

改装で売上高1.5倍をめざす

──ユニーはGMSのアピタ、ミニGMS、SMのピアゴを展開しています。それら業態別の状況と、それを踏まえた今後の施策について教えてください。

佐古 商勢圏では競争が激化するなか、規模の小さいピアゴは商圏が狭まっており、やや厳しいのが現状です。食品の売上高構成比が高く、青果や精肉といった生鮮食品の相場高もあり、利益確保が難しい。一方、衣料品、住関品が順調、広域商圏のアピタの方が比較的、好調です。その意味でGMSは、今後もさらに伸びしろがあると見ています。

──その商圏が狭まっているピアゴの打開策は?

佐古 それがドンキさんとの取り組みで、現在、両グループのノウハウを結集したダブルネーム業態店を開発しています。

さこ2
「商圏が狭まって厳しいピアゴ店舗をダブルネーム店舗に転換。売上を1.5倍、営業利益を2倍にする」

──その商圏が狭まっているピアゴの打開策は?

佐古 それがドンキさんとの取り組みで、現在、両グループのノウハウを結集したダブルネーム業態店を開発しています。

その第一弾として、当社の「ピアゴ大口」(神奈川県横浜市)を今年2月23日、「MEGA ドン・キホーテ UNY 大口店」としてオープンしました。さらに今年3月9日には「アピタ東海通」(愛知県名古屋市)を「MEGAドン・キホーテUNY東海通店」に改装しました。いずれも昨年11月に設立したUDリテール(東京都/梅本稔社長)が運営しています。その後、3月16日に「MEGA ドン・キホーテ UNY 座間店」(神奈川県座間市)と「MEGA ドン・キホーテ UNY 星川店」(三重県桑名市)、同月23日には「MEGA ドン・キホーテUNY 豊田元町店」(愛知県豊田市)、同月30日に「MEGA ドン・キホーテ UNY国府店」(愛知県豊川市)を開業しました。6店中4店舗がピアゴで、2店舗は実験の意味でアピタも業態転換しています。

──リニューアルのポイントは?

佐古 買い物の楽しさを感じられるような売場、店づくりです。スローガンに掲げるのは「NEW UNY」、「意識を変え、売場を変え、店舗を変える」がサブタイトルです。現代はモノがあふれ、ショッピングの喜びが薄れている一面があります。実際、当社の店舗も、実需に応える売場の色合いが強まっている。それをもう一度、楽しく買い物ができるような売場にしたい。その点、ドンキさんの店舗はとても参考になっています。

──新業態店への改装で商圏の拡大を図るわけですね。売上や利益ベースではどの程度の効果を見込んでいますか。

佐古 リニューアル後、数年後に最低でも売上高を1.5倍、営業利益は2倍にしたい。そのため、当社従業員をドン・キホーテ店舗に派遣、これまでに計60人ほどが考え方や具体的なノウハウを学んでいます。今期はこれら施策により、ダブルネーム業態店でしっかり成果を出したい。とくに衣料品、住関品を伸ばし、そこで確保した利益を原資として食品を低価格で提供、さらに集客するといった好循環を実現させたいと思います。

──伸びしろがあるというアピタ店舗については、どういう施策で臨みますか?

佐古 これは主に来期からの「攻め」の2年で集中的に行います。売場づくりのポイントは“提案型”。衣料、住関という部門の垣根を超えた売場によって、楽しいライフスタイルを提案する店づくりを行います。すでに一部店舗では検討が始まっています。それら店はいずれも1階に食品と住関、2階に衣料品売場を配置していますが、改装により住関を2階に上げ、衣料品とミックスした売場をつくります。たとえばキッチン用品とレディース衣料を組み合わせるといった具合です。今後、そういった手法に磨きをかけ、当社独自の成功パターン構築を進めます。

 20年2月期から改装に力を入れ、アピタ、ピアゴ合わせて5年間で100店のテコ入れをする計画です。そこではドンキさんと連携した改装も行いますが、当社独自のリニューアルも進めます。

ドン・キホーテ
既存店を改装、ドンキとのダブルネーム業態1号店としてオープンした「MEGA ドン・キホーテ UNY 大口店」

6つのカテゴリーで品揃えを拡大

──では、商品政策について。ライフスタイル提案型の売場づくりをするなか、どんなカテゴリーに力を入れますか。

佐古 重点カテゴリーは、食品では精肉と総菜、住関ではヘルス&ビューティとキッチン、衣料品ではインナー、靴。この6つのカテゴリーは品揃えを最大限に広げ、魅力的な売場づくりをします。いずれも中期的に売上高が落ちにくいカテゴリーだと見ています。それ以外でも充実したいものはありますが、強弱をつけ拡充を図っていきます。

1 2 3

聞き手

阿部 幸治 / ダイヤモンド・チェーンストア編集長

マーケティング会社で商品リニューアルプランを担当後、現ダイヤモンド・リテイルメディア入社。2011年よりダイヤモンド・ホームセンター編集長。18年よりダイヤモンド・チェーンストア編集長(現任)。19年よりダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集長を兼務。マーケティング、海外情報、業態別の戦略等に精通。座右の銘は「初めて見た小売店は、取材依頼する」。マサチューセッツ州立大学経営管理修士(MBA)。趣味はNBA鑑賞と筋トレ

構成

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態