調剤が強いスギ薬局が、生鮮食品を導入する店を増やしていく理由

2019/11/08 05:30
ダイヤモンド・チェーンストア編集部

相次ぐM&A(合併・買収)によりドラッグストア(DgS)業界のクリティカルマス(必要最低限の売上規模)がどんどん高まるなか、ココカラファイン(神奈川県/塚本厚志社長)との経営統合協議が実を結ばなかったスギホールディングス(愛知県/榊原栄一社長)は何を思うか。そして足元の好調な業績を維持しながら、いかにして業容の拡大を図るか、そこに生鮮食品の強化は選択肢としてあるのか。スギホールディングス副社長兼スギ薬局社長の杉浦克典氏に尋ねた。

調剤部門が既存店の伸びをけん引

スギホールディングス代表取締役副社長兼スギ薬局代表取締役社長  杉浦克典
すぎうら・かつのり●1978年生まれ、岐阜薬科大学薬学部卒。
2003年7月ジョンソン・エンド・ジョンソン入社、06年3月スギ薬局入社。
08年9月スギホールディングス執行役員内部統制室長、09年3月スギ薬局取締役、同年6月スギスマイル取締役。
11年3月スギ薬局常務取締役、14年3月スギスマイル代表取締役社長(現任)。17年3月、スギ薬局代表取締役社長就任(現任)。
18年5月より、スギホールディングス代表取締役副社長(現任)。

──スギホールディングスの2019年2月期決算は増収増益、翌20年2月期上期決算も増収2ケタの営業増益を達成、既存店売上高も19年3月から8月までスギ薬局事業はすべての月で対前期比プラスとなっています。業績好調の理由を教えてください。

杉浦 調剤部門の伸びが大きいでしょうね。当社は創業以来、調剤に力を入れてきたのですが、それが実を結びつつあると考えています。たとえば、調剤部門の処方箋応需枚数は、前期比で13.2%の増でした。

──調剤市場はさほど拡大しているわけではありません。そのなか、なぜスギ薬局の調剤部門は、急成長しているのですか。

杉浦 スギ薬局が展開する調剤併設型ドラッグストア(DgS)が、「かかりつけ薬局」として、お客さまの支持を集めているからだと考えています。高齢のお客さまは、複数の医療機関を受診されているケースが多いのですが、自宅近くの調剤併設型DgSであれば、「門前薬局」と違って、1カ所ですべての処方薬を購入でき、一元的な服薬管理ができます。物販もあるので、ワンストップショッピングの利便性もあります。そうしたスギ薬局をご利用いただくことのメリットが消費者に認知された結果、門前薬局から当社の店舗にお客さまが流れていると考えています。

──とはいえ、調剤併設型DgSは、スギ薬局独自の業態ではありません。ほかのDgSチェーンも、展開しています。

杉浦 調剤併設型DgSは、調剤薬局の中では少数派です。調剤薬局は、「目的買い」のお客さまが来店する調剤単独型の「門前薬局」のほうが、運営効率が優れているからです。よい場所に開設すれば、月間処方箋枚数がすぐに1000枚を超えることも、珍しくありません。だから、大半が門前薬局なのです。

 それに対してDgSの調剤部門は、認知度が上がるまで処方箋枚数が増えません。月間処方箋枚数が1000枚を超えるまでに、長い時間がかかります。薬剤師も採用せねばなりません。当然ながら、その間は店舗の収益を圧迫しますので、調剤部門を併設したDgSは、なかなか増えないのです。

 そうしたなかスギ薬局は、長期的な経営戦略の中で、薬剤師を積極的に採用し、教育を行い、システム投資をし、チェーンオペレーションの効率化を進めながら、地道に調剤併設型DgSを育成してきたので、ここまで増やすことができました。ここが他のDgSチェーンとの大きな違いであり、優位性です。

調剤併設型ドラッグストア店内の様子
調剤併設型ドラッグストア(DgS)のパイオニアであるスギ薬局。調剤部門の伸びが、好調な既存店売上高を支えるカギとなっている

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