欧州、ビール機軸に「ノンアル」も収益の柱へ=小路アサヒGHD社長

ロイター
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小路明善社長兼最高経営責任者(CEO)
10月24日、アサヒグループホールディングスの小路明善社長兼最高経営責任者(CEO)はロイターとのインタビューで、欧州で伸びているビールテイスト飲料(ノンアルコールビール)を収益の柱に育てたいとの考えを示した。写真は小路氏。2016年5月17日、東京で撮影(2019年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 24日 ロイター] – アサヒグループホールディングスの小路明善社長兼最高経営責任者(CEO)は24日、ロイターとのインタビューで、欧州で伸びているビールテイスト飲料(ノンアルコールビール)を収益の柱に育てたいとの考えを示した。ノンアルビールで先行する日本の技術なども取り入れており、欧州事業買収におけるシナジーの一環といえる。

小路社長は「ビールビジネスで海外の拠点を作った。ビール事業を機軸にしながら、ノンアルコールビールや日本で言うRTD(ready to drink)を収益の柱にしていく。カテゴリーの拡大で事業の拡大と価値の拡大を図っていく」と述べた。

健康志向の高まりなどを背景に、中東欧でノンアル市場は30%程度伸びており、当面、同程度の伸びが期待できるという。アサヒはペローニやBIRELLなどを展開。ハイネケンやアンハイザー・ブッシュ・インベブなど海外大手メーカーも積極化させている。

欧州でのノンアルビールの展開には、日本で培った「技術」や「味」なども活用している。小路社長は「商品開発や素材研究は日本が進んでいる」とし、こうした技術の活用はシナジーの一環だと指摘した。

さらには、欧州16工場・日本8工場で生産効率にばらつきがあったものの、双方の強みを生かすことで、生産効率を高めることができたという。

小路社長は「BSバランスがアンバランスになっており、これを可能な限り通常の状態に戻さないと、大きな投資はできない」と述べ、さらなる買収には時間を要するとした。純有利子負債/EBITDA倍率(純負債倍率)が3倍程度になれば投資の賛同を得られると指摘。純負債倍率は一時的に4倍を超えるが、2022―23年に3倍程度に低下するとみており「この期間は投資を控えて、財務バランスを健全化していくことが必要」とした。

アサヒは7月、ABインベブから豪カールトン&ユナイテッドブリュワリーズ(CUB)を約1兆2000億円で買収することで合意した。同社は2016・17年にABインベブから西欧・中東欧のビール事業を計1兆2100億円で買収。豪州と併せて、日・欧・豪のグローバルプラットフォームができたとしている。

今後の投資先を考えた場合、中国については、マジョリティーを持って事業を進めるにはさまざまな規制があり、難しい市場だという。また、インドや東南アジア、アフリカは、アサヒがターゲットとしているプレミアム市場が確立されていない。ビール市場が大きな北米は大手による競争が激しい市場となっていることなどから「欧州、豪州、日本の事業を拡大、価値を高めていくということを当面やる」と述べた。

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