イズミ、セブンプレミアムに賭ける!ヨーカ堂・ベニマルとの共同商品開発が始動
「セブンプレミアム」で
店舗の価値を高める
そして中長期的な成長を図る手段として、いっそう強めるのが18年4月から業務提携関係にあるセブン&アイ・ホールディングス(東京都/井阪隆一社長:以下、セブン&アイHD)との連携だ。
イズミは今年5月に、20年2月をもって共同仕入れ機構の日本流通産業(大阪府/夏原平和社長:以下、ニチリウ)から脱退することを発表。代わりに、詳細な販売開始時期は未確定だが、セブン&アイHDのプライベートブランド(PB)「セブンプレミアム」の取り扱いをスタートする。そのねらいについて川西氏は「高い品質で消費者から高い評価を得ている同PBを扱うことで店舗の価値を高めたい」と述べている。
3社で低価格帯の
商品を共同開発へ
これと同時に進める施策として発表したのが、セブン&アイHD傘下のイトーヨーカ堂(東京都/三枝富博社長)、ヨークベニマル(福島県/真船幸夫社長)との共同による新たな商品開発だ。
「セブンプレミアム」はコンビニエンスストアでの取り扱いを主軸に開発される。そのため「食品スーパーや総合スーパーにとって価格帯が少し高く、かつ品揃えも十分とは言えない。その足りない部分を補う品目、価格帯の商品開発を進める」と川西氏は説明する。すでに前述の2社とは商品開発に向けた合同会議をスタートさせているという。
IY「福山店」再生に成功
関西エリアの店舗獲得めざす
さらにイズミはセブン&アイHDとの関係を店舗網の拡大にも生かしたい考えだ。中国エリアの不採算店舗の閉鎖により“陸の孤島”状態になっていたイトーヨーカ堂の「福山店」(広島県福山市)の運営を承継し、19年6月にイズミのショッピングセンター「ゆめタウン福山」として改装オープンしている。同施設は今上期の全体売上高をけん引するほど好調に推移しているという。
また同施設ではイトーヨーカ堂の店舗当時からの従業員約180人中約140人を引き継いでいる。すでに販売スキルや地域の顧客との関係性を有する人材が獲得できることは、人材確保が難しい昨今において大きなメリットとなっている。「今回の福山店の転換を好事例に関西エリア西側の『イトーヨーカドー』店舗を引き継ぐこともセブン&アイHDさんに積極的に提案していきたい」(川西氏)。
ベニマル流による
食品スーパー改革も進行
そのほか、食品スーパーの競争力アップを目的に、18年からヨークベニマルから売場づくりや、店舗オペレーションの生産性向上のノウハウを学ぶことも始めている。今年6月からイズミの食品スーパー「ゆめマート八幡」(広島県広島市)で“ヨークベニマル流”を実店舗に取り入れた実験を開始。19年度中には検証結果をまとめて、来年度から順次、既存店に水平展開していく計画だ。
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10月の増税以降、「キャッシュレス・ポイント還元事業」の対象である競合の中小小売企業からの影響について川西氏は「かなりの影響が出ている。同事業は9カ月間の“救済措置”とされているが20年夏くらいまで消費者を引き付ける効果があるでは」と述べている。
こうした厳しい消費環境を乗り越えイズミは中長期的な成長を実現できるのか。セブン&アイHDとの協業効果を発揮させることが大きなポイントの1つとなりそうだ。