相鉄線沿線の駅周辺や「駅ナカ」への出店を進める=相鉄ローゼン伊藤英男社長

聞き手:千田 直哉 (編集局 局長)
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──具体的には、どのような打ち手を施したのですか?

伊藤 まず取り組んだのが、お客さまの利便性を考えた営業時間の延長です。10年度上期までに36店舗で営業時間の延長を行いました。当社の店は過半近くが相鉄線各駅の周辺にあります。横浜駅発の最終電車に乗ったお客さまが、自宅の最寄り駅で降車された後でお買物できる時刻まで営業しようというのが基本的な考え方です。24時間営業の店も2店舗だけありますが、多くは深夜1時30分ぐらいまでの営業としています。

 36店舗の総延長時間は、年間で実に6万時間にも上ります。新規出店はしていませんが、営業時間延長によって何店舗か新規出店したのと同様の売上拡大効果を得ることができました。

 営業時間の延長に伴って、店舗オペレーションも組み替えました。たとえば、夜間でもできたて総菜を提供できるようにしたのです。従来、夕方4~5時ができたて総菜を提供する最終時間帯でしたが、それを夜間まで延長しました。グループの別会社が運営するインストアベーカリーも同様、最終の焼き上がり時間を延長しています。

 それらの施策の結果、お客さまからは「夜10時に来店しても欲しい商品が品揃えされている店」として認知され、深夜に加え、これまでの営業時間の売上も向上しました。ナイトマーケットの掘り起こしに成功したのです。営業時間の延長による売上拡大効果は、4%程度あるものと試算しています。

──大きな需要を掘り起こしたわけですね。売上拡大の施策としてはほかに、09年6月より毎月1回行っていた「ローゼン市」を、月2回に増やした効果が出ていると聞いています。

伊藤 そうですね。もともと「ローゼン市」は、お客さまがワクワクするような「お買物の楽しみを感じてもらえるセール」にすることがねらいでした。それによって、お店の賑わいを創出したかったのです。

 月1回の「ローゼン市」は、農産品を中心に特売価格でご提供することがお客さまに受けて、瞬く間に定着しました。ただ、その売上拡大効果も10年6月に一巡しました。そこでお客さまのニーズにお応えして、その6月から毎月第3水曜日も「月なかのローゼン市」としたのです。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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