3年で17店の競合が出店、お客様一人ひとりの満足度を高めて勝ち残る=オギノ荻野寛二社長

2012/03/02 19:00
聞き手:下田健司
構成:小木田 泰弘
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メーカーとの関係強化は店舗の強さにつながる

──顧客の購買データの分析にあたっては、メーカーが参加する研究会を開かれていますね。

荻野 はい。当社は、食品、非食品のメーカーさん117社と「FSP(フリクエント・ショッパーズ・プログラム)研究会」を年4回実施しています。取り組みは今期で8年目になります。

 メーカーさんは、新商品が予想に反して売れなかったり、定番商品がだんだんと売れなくなった原因を突き止めることがあまり得意ではありません。メーカーさんがしっかりとターゲットを決めて開発した商品が、当社のデータを分析してみると、当初の想定とはまったく異なる層に受け入れられていたことがわかったことが何度もあります。それがわかれば、対策を打つこともできます。

 メーカーさんにとっては、ある商品がヒットし、それが一定のプライスで半永久的に売れ続けるならばいいでしょうが、そのような例はきわめて稀です。一時的にヒットしても、その後は売れなくなったり、安売りの目玉商品になったり、競合する商品が増えたりと、さまざまなかたちで商品の魅力は薄れていきます。多くの商品がそうだと言えます。しかし、その商品に替わる新しいコンセプトの商品をつくる手助けは、小売業こそがやるべきだと私は考えています。それがメーカーさんに対するお返しだと思うのです。

──メーカーとの関係を強化するねらいは何ですか。

荻野 当社のようなローカルSMは、独自にオリジナル商品を開発する力がありません。商品開発においては、メーカーさんにかなうはずがありません。企業規模が大きくてもかなわないでしょう。

 メーカーさんに、お客さまの購買動向をフィードバックすることが今まで以上にできれば、新しい商品を育てたり、お客さまの隠れたニーズを顕在化したり、新たなマーケットを創造することにもつながります。

 それは、私どもにとって競合対策にもなります。「オギノには私が欲しいと思う商品がある」と感じるお客さまが増えれば、それは店舗の強さになるのです。

──最後に、今後の出店計画について教えてください。

荻野 12年2月期は衣料品専門店を1店舗出店しました。そのほかにも計画していた物件はあったのですが、東日本大震災が発生したことで、計画はすべて白紙またはペンディングになりました。再度、出店エリアや立地環境などを検討しているところです。

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構成

1979年生まれ。2009年6月ダイヤモンド・フリードマン社(現ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。「ダイヤモンド・チェーンストア」誌の編集・記者を経て、2016年1月から「ダイヤモンド・ドラッグストア」誌副編集長、2020年10から同誌編集長。

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