マツキヨココカラ&カンパニー、時価総額がドラッグストア業界で首位となった理由とは

アナリスト:椎名 則夫
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コロナ禍でライフラインを支えたとして躍進した業界の1つがドラッグストアです。そのなかにあって、インバウンド需要の蒸発や都心部で厚い店舗展開により、その恩恵に十分あずかれなかったのがマツキヨココカラ&カンパニーです。しかし、アフターコロナを見据えるいま、同社の企業価値は大きく高まっています。その背景を探りたいと思います。

マツモトキヨシ
(2018/7/4撮影)

小売業の株式時価総額上位の顔ぶれをアップデート

  日本の小売業の株式時価総額、上位5社はすぐ思い浮かぶと思います。2022年10月27日現在、その順位は次のとおりです(兆円以下四捨五入)。まず上位5社。

1位 ファーストリテイリング(8.7兆円)
2位 セブン&アイ・ホールディングス(4.9兆円)
3位 イオン(2.4兆円)
4位 ニトリホールディングス(1.6兆円)
5位 パン・パシフィック・インターナショナル・ホールディングス(1.5兆円)

 順当な布陣と思います。

 では6位から10位はいかがでしょう?ここがとても興味深いので見ていきましょう。

6位 MonotaRO(1.2兆円)
7位 ZOZO(1.0兆円)
8位 マツキヨココカラ&カンパニー(0.8兆円)
9位 ウエルシアホールディングス(0.6兆円)
10位 コスモス薬品(0.6兆円)

 です(便宜上、日本マクドナルドホールディングス0.7兆円を除いています)。

  いかがでしょうか。

 なかなか興味深いと思います。EC系2社が6位、7位を占め、次にドラッグストアが3社並んでいます。

  この中でもマツキヨココカラ&カンパニー(以下、マツキヨココカラ)がドラッグストアのトップに、小売業全体で8位にあることに筆者は興味をひかれました。

 マツキヨココカラ、株価は順調

  過去1年間の株価の騰落を見ると、時価総額上位10社のうち、上昇しているのは4社(ファーストリテイリング、セブン&アイ・ホールディングス、イオン、マツキヨココカラ)に限られます。

  また、ドラッグストア大手の中で、過去1年間に株価が上昇しているのはマツキヨココカラとサンドラッグに限られます。大手他社であるウエルシアホールディングス、コスモス薬品、ツルハホールディングス、スギホールディングス、クスリのアオキホールディングスなどの株価は軒並み下落しています。

  そこで今回はマツキヨココカラの企業価値が高まっている背景を探りたいと思います。

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アナリスト

都市銀行で証券運用・融資に従事したのち、米系資産運用会社の調査部で日本企業の投資調査を行う(担当業界は中小型株全般、ヘルスケア、保険、通信、インターネットなど)。

米系証券会社のリスク管理部門(株式・クレジット等)を経て、独立系投資調査会社に所属し小売セクターを中心にアナリスト業務に携わっていた。シカゴ大学MBA、CFA日本証券アナリスト協会検定会員。マサチューセッツ州立大学MBA講師

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