優良GMSのイズミ、逆風下の再成長戦略の中身は

下田 健司
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GMS事業は「再生と進化」へ

 一方、GMS事業は「再生と進化」をテーマに掲げているように、新規出店は2店舗にとどめ、既存店の改装や建て替えに重点を置く。投資総額は570億円で、出店に400億円、活性化に170億円(60店舗)を充てる。

 既存店の改装や建て替えでは、すでにFC(フランチャイズチェーン)店舗として展開している、ハンズ(旧東急ハンズ)の「Plugs Market」やパルの「3コインズ」などの雑貨店の導入店舗を拡大するほか、有力テナントとの協業による新規FCも導入。FC売場を含めた直営売場とテナントで売場を再構築する。さらに、図書館・公共施設の設置、サービス区画の拡大、百貨店ニーズの取り込みなども含めて、地域の拠点機能を強化するという。

 課題の衣料品、住居関連品では組織を改変した。衣料品部と住居関連品部を2021年度にライフスタイル本部として統合しており、衣料品の売場面積を適正化する一方で、総合的な商品力を高め、生活提案や美と健康カテゴリーを強化するほか、「トレンド」「ショップ化」を切り口に新しいマーチャンダイジングを導入する方向だ。
 
 中計の数値目標は、最終年度にあたる25年度に営業収益8300億円、営業利益450億円、売上高営業利益率5.7%を達成することだ。どこまで達成できるかは、こうしたSM事業の拡大とGMS事業の立て直しをどこまで実現できるがポイントとなる。

 中計では2030年長期ビジョンを掲げ、30年度目標として中四国・九州を軸に300店舗体制、営業収益1兆円、売上高営業利益率6%の達成をめざすとしている。イズミにとって1兆円は悲願。再三、営業収益1兆円という目標を公表してきた。2011年、創業50周年を機に打ち出したし、17年に発表した前中計で22年度の1兆円達成を目標に掲げている。

 22年度は営業収益4543億円(収益認識に関する会計基準適用)、旧基準適用で6971億円(対前期比3%増)、営業利益326億円(同6.1%減)を見込む。中計初年度にあたる21年度は計画未達に終わり、2年目となる22年度も減益の見通しだ。前中計では売上成長の鈍化から2年目に数値目標を下方修正した。今回の中計で目標達成に向けた道のりが険しくなるなか、どのように挽回していくのか。イズミの地力が試されている。

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