上場以来初の減収となったツルハHD、収益性改善に向け新中計がスタート

棚橋 慶次
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今期は過去最高売上高へ

 2023年5月期の業績予想は、売上高が対前期比5.8%増の9688億円、営業利益が同5.3%増の427億円、当期純利益が同5.9%増の226億円を見込む。売上高は過去最高となるものの、営業利益は20年5月期を下回る計画だ。

 主な取り組みは、「デジタル戦略の推進」(CRMの構築と「1to1マーケティング」の進化)、「調剤事業戦略」(新規開局119店舗)、PBラインナップ拡充をはじめとした「プライベートブランド戦略」、ITインフラ・業務管理の構築・整備といった「グループ管理体制の強化」、「サステナビリティ推進」の5本柱で、基本的に21年5月期に掲げたテーマを踏襲したものとなっている。

 店舗戦略についてはスクラップ&ビルドを継続し、151店を開業する一方で70店舗を閉鎖する。

新中計がスタート

 さてツルハHDは、今回の決算発表と同時に新中期経営計画を発表した。前中計では24年5月期の売上高1兆円達成をめざしていたが、新中計ではこれを1年後ろ倒しする。

 成長性よりも急務とするのが収益性の改善だ。一時は6%を超えていた売上高営業利益率は22年5月期に5%を切り、長らく10%を超えていたROE(株主資本営業利益率)も12年ぶりの1ケタ台となった。

 エネルギー費や資材費、物流費といったコストの高騰に見舞われ、収益環境が急速に悪化する中、新中計では24年3月期までに売上高営業利益率を5%台に戻すとしている。

 収益性回復のキーファクターとなるのは、店舗への調剤薬局併設による処方箋取り扱い伸長と、PBの拡充だ。これらは利益率が高く、収益性回復への寄与が期待できる。ただし、競合も似たような戦略を採っていることもあり、あまり目新しいものとはいえない。

 今まで成長を支えてきた店舗展開も、競争激化と人口減少によって転換期を迎えている。ドラッグストア1店舗当たりの商圏人口は、14年の9736人から採算ラインに近い7124人まで落ち込んだ。中計でも、24年3月期までの店舗数を3000店から2750店に落とした。

 同業との上位争いも安閑としていられない。マツキヨココカラ&カンパニーはいよいよ経営統合効果を発揮し、23年5月期の予想売上高はツルハHDに肉薄する。

 ツルハHDでは29年5月期に達成すべき目標として「売上高1兆5000億円」「売上高営業利益率6.0%」を掲げる。この意欲的な目標を達成できるかどうかは、商品・店舗戦略において具体的なロードマップを描けるかにかかっている。

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