冷凍弁当宅配の「ナッシュ」がコロナ禍で販売数を8倍に伸ばした方法

榎森 順二
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人気YouTuberとコラボ 特徴あるマーケティングが成功

ナッシュ マーケティング部部長 小川勇輝氏

 ナッシュのマーケティング戦略にも注目だ。上記の通り、ナッシュはウェブ広告を主体に販売促進を行っているものの、同時に注力しているのが有名YouTuberや配信者との提携だ。当初は美容・ダイエット系の女性をターゲットにしたYouTuberやインフルエンサーと提携することが多かったものの、試験的にまったく関係のないジャンルで実施してみたところこれが反響を呼んだという。

 中でも反響が大きかったのが、動物系YouTuberの草分けとして人気を集める「もちまる日記」や、ゲーム系配信者として常に2万人前後のリスナーを集める「SHAKA」氏との提携だ。「もちまる日記」との提携では、ナッシュの弁当をレンジアップして食べる様子を猫の「おもち」と共に紹介。この動画は80万回以上再生された。SHAKA氏との提携では、実際に食べてみた感想を配信内で本人がざっくばらんに語るなどした。

 これらの動画公開・配信後は、SNSがナッシュの話題でにぎわうといい、普段ナッシュと接点のない層や、ウェブ広告は見かけているもののただ漫然と見逃している層へ、きちんと意識される形で情報を届けるという意味で価値のあるマーケティング手段といえそうだ。

 今後の展望について小川氏は「コロナ禍が落ち着いても、そのときに身についたライフスタイルは一定残り続けると考えている。自宅で手軽に食事を取ることへの需要が低下することはないと思う」と語る。

 課題としては、子世代からのギフトとしてではなく自主的に購入する高齢のユーザーが少ないことを挙げた。また「食を通じて人々を健康に」というミッションを達成するために、「1日に1食ナッシュの弁当を食べる、という利用頻度の引き上げが必要。朝食など、食シーンに合わせたメニュー開発などの道も探っていきたい」と小川氏は意欲を示した。

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