ユニクロ失速の秘密&通販KPIを活用した成熟時代の新しいアパレルビジネスのKPIとは
これからの10年、アパレル産業にとって日本市場は絶望的だ– 私は折につけ、そのように述べてきた。その理由は、そもそもの人口減少による市場の縮小、買い換えサイクル長期化、生産段階で排出される環境負荷の管理コストの増大、進む円安と上がらない上代など、挙げれば切りが無い。今回はユニクロをキャッチアップする中国アパレル事情と、アパレルビジネスを進化させるために理解しておきたい通販ビジネスのKPI(重要業績指標)について解説したい。
ファーストリテイリングに異変?中国苦戦は「国潮トレンド」か?
ファーストリテイリングは21年8月期業績について、国内と中国の販売苦戦を理由に計画の下方修正をしている。22年8月期第1四半期については増収増益で計画を大幅に上回ったが、国内ユニクロ事業の売上収益は対前期比274億円のマイナス(計画比ではプラス)、海外事業はアジア・オセアニア、北米、
どこか腑に落ちなかった私は、自身の中国ネットワークを活用して消費者や、
日本のアパレル全体に言えることだが、いかに中国が恐ろしいスピードで変革したか?そしていかに欧米は循環経済に対応したESG経営のイニシアティ
これは国家間の競争であり、国家間の方針の問題である。
ファーストリテイリングに話を戻すと、気になるのが2021年10月14日の決算発表。「これからは米国を攻める」という衝撃的な方針説明の後、質疑応答では言い直すように「アジアを攻める方針はこれまでと変わらず、加えて、米国も攻めるという意味だ」と訂正していた。四半期前の説明と、上記結果、すなわち欧米の大幅増収、
さて、ファストリ以外の日本のアパレル企業の話をすれば、
そもそも、競争力のない企業は市場原理にまかせ、経済の新陳代と金融引き締めを行っている米国と、経済の新陳代謝に成功しているようには見えない円安株安に陥って
したがって、今後10年は誰が考えても日本市場はダメで、海外でマネタイズしなければ未来はないことは明らかだ。「越境EC × (本物の)D2C × (戦略的)ライブコマース」のモデルを考え抜き、今年からでも着手しなければ勝算はないのだ。
早くも3刷!河合拓氏の新刊
「生き残るアパレル 死ぬアパレル」好評発売中!
アパレル、小売、企業再建に携わる人の新しい教科書!購入は下記リンクから。
河合拓のアパレル改造論2022 の新着記事
-
2023/01/24
「大ディスカウント時代が到来」 この意味が分からないアパレルの未来は悲観的な理由 -
2023/01/17
H&MやZARA等が原価下回る価格で取引を強要 SDGs時代にこんなことが起こる必然の理由 -
2023/01/10
ビッグデータを制する企業が勝利する理由と、M&Aできない企業が淘汰される事情 -
2022/12/27
2023年のアパレル大予測 外資による買収加速・DX失敗・中国企業に完敗、が起こる理由 -
2022/12/20
中国企業傘下の仏メゾン「ランバン」米国で上場 いまや中国企業に追いつけない理由 -
2022/12/13
過去のヒットからAIが予測し売れる服を自動生成!?アパレル業界の課題とこれからとは
この連載の一覧はこちら [55記事]
ファーストリテイリング(ユニクロ)の記事ランキング
- 2024-11-13値上げしたのにアパレル業界が利益に結び付かない2つの理由
- 2024-11-07同じ低価格なのに…GUがしまむらやワークマンと「競合」しない決定的な理由_過去反響シリーズ
- 2024-01-02勝ち組はSPAではなく「無在庫型」へ 2024年のアパレル、5つの受け入れ難い真実とは
- 2023-08-28ユニクロと東レとのサステナブルな関係から生まれたリサイクルダウン
- 2024-09-27ユニクロが中間価格帯になったことに気づかない茹でガエル産業アパレルの悲劇_過去反響シリーズ
- 2021-05-04大丸、三越伊勢丹…誰も語れない百貨店分析 政府の施策が百貨店を殺す「本質的理由」
- 2024-09-03アローズにビームス…セレクトショップの未来とめざすべき新ビジネスとは
- 2022-05-03ユニクロ独走の秘密は販管費にあるのに、原価削減を繰り返すアパレルの実態とは
- 2024-02-21ファストリ業績絶好調も…日本の大衆から乖離するユニクロはどこへ行く?
- 2024-08-20売上100億円の超高収益アパレルが増殖の理由とユニクロとの共通点
関連記事ランキング
- 2024-10-29ライザップ傘下の夢展望、Temu効果で株価高騰も拭えない「不安」とは
- 2024-11-05ユニクロがZOZOに出店しない当然の理由と今後のECモールとの付き合い方
- 2024-11-12アパレルは「個人売買」「古着」が、今後驚くほど拡大する理由
- 2024-11-19ユニクロ、開始から7年で明らかになった有明プロジェクトのいまとすごい成果
- 2024-11-13値上げしたのにアパレル業界が利益に結び付かない2つの理由
- 2024-10-22事業再生、「自ら課題解決する」現場に変えるための“生々しい”ノウハウとは
- 2024-11-07同じ低価格なのに…GUがしまむらやワークマンと「競合」しない決定的な理由_過去反響シリーズ
- 2024-09-17ゴールドウイン、脱ザ・ノース・フェイス依存めざす理由と新戦略の評価
- 2021-11-23ついに最終章!ユニクロのプレミアムブランド「+J」とは結局何だったのか?
- 2023-08-08EC時代にスクロールとベルーナだけ好調 生き残るカタログ通販、死ぬカタログ通販
関連キーワードの記事を探す
ファストリが3兆円突破!24年8月期決算で語られた今後の成長戦略
「亜熱帯化」でも売上を伸ばすユニクロ、伸び悩むアパレルとの違いとは
ユニクロが中間価格帯になったことに気づかない茹でガエル産業アパレルの悲劇_過去反響シリーズ