ユニクロ失速の秘密&通販KPIを活用した成熟時代の新しいアパレルビジネスのKPIとは

河合 拓
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通販KPIを理解せよ

Tevarak/istock
Tevarak/istock

そんなわけで、前置きが長くなったが、こうした産業の変わり目は、大きな戦略の大転換を図る必要がある。今回は、より具体的な成熟経済下での「アパレルのKPI」について語りたい。ひと言で言えば、通販で利用されているものを、アナロジカルにリアル店舗ビジネスに展開せよ、ということである

私は通販企業で6年働いた経験があるので、通販のKPIや考え方には詳しい。一方でアパレルでEC事業部と称する人、あるいは、EC担当の人の多くは、通販の基本の「き」を分かっていない人が多いようだ。

例えば、LTV の計算方法は

  1. 客単価 = 一点単価 x セット率 x 購買頻度/年
  2. Lifetime Value = 客単価 x 粗利率(限界利益率でもよい) x 離脱 (一年間買わない年度)までの年度

 である。
つまり、顧客Aが一年間に企業に落とす売上が「客単価」で、離脱するまでに落とす利益が「生涯価値」なのだ。この場合、一年間に買わなかった人が突然買い始めるケースもあるが、この場合、その客は「新規顧客」と捉え、KPIを単純化させる。これが基本だ。

例えば、長期間使う雑貨や家具のように数年に一度買うような商品を売っている場合、一年で買わなくなった人を「離脱」と捉えてしまうと、ほぼ全員が離脱してしまうため、管理方法に工夫が必要だが、本論考は通販管理のKPIを教えることを目的としていないため、ここでは省略する。

 

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