好調の要因は手を打ったからである

2014/10/06 00:00
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 平和堂(滋賀県/夏原平和社長)が好調だ。

 2015年2月期第2四半期(連結)の営業収益は2039億8900万円(対前期比3.8%増)、営業利益は68億7200万円(同10.8%増)、経常利益は71億2900万円(同10.4%増)、四半期純利益は43億9300万円(同0.2%増)だった。経常利益、当期純利益は、連結・単体ともに2期連続で過去最大を記録した。

 

 既存店舗(単体)も好調で同0.5%増。2014年4月の消費税増税を挟んだ既存店舗の動向は、2月が同1.7%増、3月が同9.9%増、4月同6.6%減、5月同0.1%増、6月0.6%減、7月0.5%増、8月1.6%増と回復している。

 

 好調の要因は、来るべき逆境に備えて予め、手を打ったからである。

 では、どんな打ち手を施したのかといえば、食品売場を中心にした改革である。

 

 たとえば、青果売場では、陳列技術の向上に取り組み、見せ方を工夫した、旬商品の拡販に乗り出すとともに、こだわり商品を増やし、「生活応援特価」として価格対応にも努めた。この結果、売上は同6.8%増、既存店では同2.7%増加した。

 

 鮮魚部門の改革にも着手し、従業員に対して調理方法や食べ方を教育。陳列技術向上や対面販売による丸物の調理サービスにも力を入れた。売上は同9.1%増、既存店は同4.8%増となった。

 

 さらには、デリカ部門では、“平和堂名物総菜”のさらなるレベルアップを図った。「名物牛肉コロッケ」や「肉餃子」「にしん昆布巻」「手造り鯖寿司」「極旨いなり」「手づくりおはぎ」など一品一品の味改革を進めた。売上は、同6.1%増、既存店は2.2%増だった。

 

 また、毎週火曜日には、「価値ある100円」と称するセールを実施。人気のナショナルブランド(NB)商品を100円で販売し、日販20万個、上期累計で366万個を販売した。

 

 プライベートブランド(PB)では、所属するニチリウ(日本流通産業:大阪府/夏原平和社長)の「くらしモア」を拡販。「モンドセレクション金賞」を受賞した「むぎ焼酎」「いも焼酎」「ごまドレッシング」「天然水」などの販売に注力し、「くらしモア」の食品売上は72億3900万円(同20.6%増)に上った。

 

 自社PBとして、オリジナルで上質志向の「E-WA!」(いーわ)ブランドを新開発。「近江大豆納豆」や「とろ~りおいしいシュークリーム」など上期は10アイテムを発売し、合計1億3600万円を売り上げた。下期にも25アイテムを投入する計画だ。

 

 食品の価格政策はEDLP(エブリデー・ロー・プライス)で「スーパープライス」「生活応援得だ値」「期間限定得だ値」などの名称で増税後の節約指向に対応した。

 

 平和堂は下期も改革の手を緩めることなく邁進する。

 食品ではインストアベーカリーの直営化、衣料住居関連ではランドセルセールやペットショップ売場の開発など新しい提案を次々と打ち出すことで、好調を維持したい考えだ。

 

「世の中の状況は厳しい。当社でも60代以上のお客様は増加しているが、価格により敏感な20~30代は若干減少傾向にある。危機意識をもって、付加価値のある商品を新しい方法で提案していきたい」(夏原社長)。

 

 平和堂は2015年2月期通期(連結)について、営業収益4140億円(同2.3%増)、営業利益141億円(同5.8%増)、経常利益144億円(同4.3%増)、当期純利益は76億円(同2.6%減)と予想している。
 

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