米食品スーパー最大手クローガー、業界2位のアルバートソンズを買収へ 246億ドル

ダイヤモンド・リテイルメディア デジタル推進室
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クローガー
合併による物流効率化で、ネット通販事業の収益が改善する可能性もある

 米食品スーパー最大手のクローガー(Kroger)は10月14日、業界2位のアルバートソンズ(Albertsons)と合併することで両社が最終合意したと発表した。アルバートソンズの株式を総額約246億ドル(約3兆6000億円)で買い取る。

 調査会社の米CFRAリサーチによれば、食品小売市場におけるシェアは首位ウォルマートの25%に対し、クローガーが8%、アルバートソンズが5%となっている。両社は合併によって仕入交渉力を高め、ウォルマートに対する価格競争力を強化する。

 米国ではインフレが進行しており、価格高騰による消費者の買い控えが懸念されている。商品価格を抑えることができれば、統合後の新生クローガーの競争力が高まる可能性がある。クローガーは合併後の4年間で約40億ドルのコスト削減効果があると見込んでおり、この一部を価格引き下げに充てる。

 また、両社はEC(ネット通販)事業の強化を進めているが、配送インフラへの投資や物流コスト上昇でEC事業は赤字と見られる。合併によってEC事業の収益改善効果も見込める。特にクローガーは、英ネットスーパーのオカドグループと提携したEC専用の大型物流センターの建設を全米各地で進めており、その投資負担が重荷となっている。合併で顧客基盤が広がれば、投資回収が早まる可能性もある。

 単純合計すると両社の従業員数は約71万人、店舗数は4996店舗、物流拠点は66カ所、プライベートブランド商品などの製造工場は52カ所、会員プログラムの会員数は約8500万人となる。両社は店頭に設置したデジタルサイネージ(電子看板)やスマートフォンアプリなどを使ったデジタル広告事業、顧客データの分析に基づくデジタル販促事業に力を入れており、店舗ネットワークと顧客基盤が広がることで、デジタル広告・販促事業の拡大を見込める。

 連邦取引委員会(FTC)の承認を得られれば、2024年初めにも合併手続きを完了する予定。アルバートソンズの大株主であるサーベラス・キャピタル・マネジメントを中心とする投資家グループは、合併に賛同しているという。

 FTCの承認を得るためには、両社の店舗が重複する地域で店舗を売却しなければならない可能性が高い。合併前にアルバートソンズは分割会社を設立し、100〜375店舗を移管する予定だ。

 今回の買収価格は1株当たり34.10ドルで、10月12日時点のアルバートソンズの株価に対して32.8%、30日間の過重平均株価に対して29.7%のプラミアムを上乗せしている。合併後もクローガーのロドニー・マクマレン会長兼CEO(最高経営責任者)が、経営の指揮を執る。

 クローガーは「クローガー」「フレッドマイヤー(Fred Meyer)」「フライズ(Fry’s)」などのブランドで店舗を展開しており、2021年度の売上高は1378億ドル、調整後EBITDA(税・金利・減価償却前利益)は71億ドル、純利益は16億ドルだった。

 一方、2015年にセーフウェイ(Safeway)と合併したアルバートソンズは、「ボンズ(Vons)」「ジュエル・オスコ(Jewel-Osco)」「ショーズ(Shaw’s)」など24のブランドで、2273店舗を展開する。21年度の売上高は718億ドル、調整後EBITDAは43億ドル、純利益は16億ドルだった。

米アルバートソンズの外観
米アルバートソンズの外観

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