大企業、景況感7期ぶり悪化=ウクライナ情勢響く―3月日銀短観

時事通信
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日本銀行
日銀が1日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、大企業製造業でプラス14と、昨年12月の前回調査から3ポイント悪化した。(i-stock/Manakin)

 日銀が1日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、大企業製造業でプラス14と、昨年12月の前回調査から3ポイント悪化した。大企業非製造業はプラス9と、1ポイント低下。いずれも7四半期ぶりに悪化した。新型コロナウイルスの感染再拡大や、ロシアによるウクライナ侵攻で原材料価格の高騰に拍車が掛かったことなどが影響した。

 半導体などの原材料不足も大企業製造業の心理を悪化させた。減産が続いた自動車は前回から7ポイント低下し、マイナス15となった。

 大企業非製造業は、コロナの感染者数が高止まりしたことで、対面型サービス業の景況感が落ち込んだ。旅行業や遊園地などの「対個人サービス」は前回から12ポイント悪化のマイナス14、「宿泊・飲食サービス」は5ポイント悪化のマイナス56となった。

 先行きは大企業製造業がプラス9、非製造業がプラス7と、ともに悪化を見込む。日銀は「ウクライナ侵攻が原材料コストの押し上げにつながっている」と分析しており、次回6月調査を注視する構えだ。

 1年後の物価見通しは全規模全産業で前年比1.8%(前回1.1%)、販売価格の見通しは2.1%(同1.2%)とそれぞれ大幅上昇した。いずれも、これまでで最も高い水準。

 大企業は現時点でも仕入れ価格と販売価格がともに上昇していると受け止めており、消費者への価格転嫁がさらに進みそうだ。

 DIは業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」を引いて算出する。日銀は今回から調査対象企業を見直した新基準を適用した。調査期間は2月24日から3月31日まで。

 ◇日銀短観のポイント
 一、大企業製造業DIはプラス14と7期ぶりに悪化。先行きはプラス9
 一、大企業非製造業DIはプラス9と7期ぶりに悪化。先行きはプラス7
 一、中小企業製造業DIはマイナス4と7期ぶりに悪化。先行きはマイナス5
 一、中小企業非製造業DIはマイナス6と2期ぶりに悪化。先行きはマイナス10
 一、大企業の自動車DIは7ポイント悪化のマイナス15
 一、大企業の宿泊・飲食サービスDIは5ポイント悪化のマイナス56
 一、22年度の大企業全産業の設備投資計画は前年度比2.2%増
 一、全規模全産業の22年度想定為替レートは1ドル=111円93銭

 ◇3月日銀短観の主な指標
               21年12月 22年3月 6月予想
▽業況判断指数
(DI、「良い」―「悪い」)
大企業製造業            17    14     9
大企業非製造業           10     9     7
中小企業製造業          ▲ 1   ▲ 4   ▲ 5
中小企業非製造業         ▲ 3   ▲ 6   ▲10

▽雇用人員判断指数
(DI、「過剰」―「不足」)
大企業製造業           ▲ 8   ▲10   ▲11
大企業非製造業          ▲16   ▲18   ▲21
大企業全産業           ▲12   ▲14   ▲16

▽22年度設備投資計画(土地含む、前年度比増減率%)
大企業全産業             ―   2.2     ―

▽22年度経常利益計画(前年度比増減率%)
大企業製造業            ―   ▲2.9     ―
大企業非製造業           ―    0.5     ―

▽全規模全産業の22年度想定為替レート(3月)
                 1ドル= 111円93銭
(注)▲はマイナス、―は数値なし。12月は新基準

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