配送料も続々値上げ…迫る「物流の2024年問題」が小売業界に与える影響
ECでも、すべての商材でスピードが求められるわけではない
日本国内の物流サービスはAmazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどのモール型に牽引されています。例えば、Amazonの「お急ぎ便」・楽天市場の「あす楽」・Yahoo!ショッピングの「あすつく」など、365日毎日出荷できるかどうかがサービスの中心で、いずれも翌日に商品が到着する『翌着率』が重視されています。
業界トレンドについて記載された記事を見ると、コンビニ受取や職場受取など『自分が商品を受け取りたい時に受け取れる』ことが重要だという内容をよく目にするようになりました。
しかし、実際に商品を購入する際には多くの方がシンプルに早く届く方を選んでしまうのが現実ではないでしょうか。これが消費者のデフォルトの心理であり、特にモール型では大部分で『すぐに届く』ことが一般的な選択肢になっていると言って良いでしょう。
ただし、EC業界全ての商材においてスピードが求められる訳ではありません。高価格帯の商材やギフト商材などは、むしろスピードより丁寧さや個別対応といった別の課題に取り組む必要があるはずです。
このように物流の2極化が進む中、限られたリソースの中でスピードを重視するか否かの『サービスの2極化』も今後さらに進むことが予測されます。
どちらに舵を切るにせよ、今回の2024年問題は物流のみならず、小売事業者にとっても今後の戦略を見つめ直す絶好の機会とも捉えることができます。パートナー企業との連携や自社のポリシーの再構築を通じて、差別化されたビジネスとして生まれ変わるチャンスが広がっていると捉え、柔軟に対応する必要があるでしょう。