アマゾンとアップルが近い将来、アパレル産業のプラットフォーマーになる理由と戦略とは
今回は日本のアパレルが「オワコン」化している理由と、10年後のアパレル産業がどのようになっているのか、そして米Amazon(アマゾン)とApple(アップル)が持ち前の「構想力」を活用してどのようにアパレル産業におけるプラットフォーマーの座をつかもうとしているのか、その戦略を筆者が予測してみた。
衰退する日本でしかビジネスをしていないリスク
日経新聞の報道によれば、デジタル庁は昨年10月、行政システムのクラウド化である通称「ガバメントクラウド」に、米国アマゾンのAWS (Amazon web service)とGoogle(グーグル)のGoogle cloud Platformを採用したことを発表した。これにより、TCO(Total cost of ownership システム全体のコスト)が大きく下がるとしているが、年間8000億円に及ぶシステム投資額の約半分が米国プラットフォーマーに流れることになる。同選定には、富士通、日立、NECなども参加していたようだが、デジタル庁は「国益」より「安定性と実績」を優先したようだ。
この判断には色々な意見があり本判断について語る場ではないので私の意見は割愛するが、これでまた日本は世界からカネを取られる「カモ」の座を強固にしてしまったようだ。思えば、アパレル業界で採用されている基幹システムであるSAPやOracle、ECスタンダードのHybris (SAP社のECソリューション)、CRMのSalesforceから、サプライチェーンプラットフォームであるPLMも仏のLectraと米国Centric 8である。デジタルソリューションはサブスクリプションだから、これらのデジタルソリューションを採用した企業はすべて恒常的に海外に「使用料」を半永久的に払い続けることになる。
そもそも、アパレルが「オワコン産業」と化している日本で、この業界に投資をするデジタルベンダーはいないだろう。一方、Amazonは米国で旧態依然としたアパレル企業を死滅に追いやり、自らファッションストアを開いている。アパレルは世界で「オワコン」ではなく、「ビジネスモデルの変革中」なのだ。世界的に見れば、成長しているアパレル産業ではデジタルベンダーも開発投資は推進される。
だが、よく考えてもらいたい。日本のアパレル企業のほとんどは、日本国内だけで戦っている。グレーターチャイナ、東南アジアというアパレル成長市場に進出して、成長の果実を得ようともしていない。縮小し続ける日本マーケットで、市場が必要としている2倍の供給を行い、毎年在庫と格闘し、「座して死を待っている」状況なのだ。
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