事業再生、「自ら課題解決する」現場に変えるための“生々しい”ノウハウとは
本日は、アパレル企業の事業再生後半をお届けしたい。軽く前回のおさらいをすると、事業再生は「キックオフ」と呼ばれる改革のスタートを全員で行う儀式からすべてが始まる。キックオフまでに、計画に穴がないか、また、そもそも正しい計画なのかを再度見定めてキックオフを行うことはいうまでもない。今回はその続きだ。
実行フェーズ 現場の信頼を獲得し、「生の情報」を得る!
コンサルティングの世界では、ペーパーに書き綴った計画を実行に移すことを「インプリメンテーション」という。インプリメンテーションで大事なのは、クライアントと仲良くなり絶対の信頼を勝ち取ることだ。
私の場合、そのために自分の席を現場の真ん中に置いて現場の人と一緒に仕事をするようにしている。現場で仕事をし続け信頼を獲得していくと、「本当か?」というような貴重な情報が入ってくることがあるからだ。
実際気心が知れてくると、私宛に支援先の社員(当然、近くで一緒に仕事をしている)からメールがよく届くようになる。中には「河合さん、お話ししたいことがあるのですが、内密に時間をとれますか」というものも少なくない。話を聞くと、今起きているトラブルの原因は自分の上司だが、自分の上司はそれを隠蔽しようとしており、また、上司だから指摘することもできない、といったものだ。こんな話がどんどん入ってくる。「現場」は見ているのだ。
もちろん、得た情報を元に直ちに改革に入れると“ややこしい”ことになるので、まずは情報をすべてヒアリングしたうえで、ノートに書き込んでおく。複数の社員との1対1の「インタビュー」を通して上手に裏取りをすることは、言うまでもなく重要な仕事だ。私たちは常にニュートラルでなければならず、誰かにバイアスをかけられてはいけないのである。
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