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2017年6月12日

第4回
「毎年ちゃんと見直しています」から更に一歩踏み込むコスト削減の“標準化”とは!?

 これまで「コストマネジメント4.0」に関して、単なる相見積りの取得による価格引下げではないことを紹介してきました。

 

 今回は“仕様の標準化・見直し” “契約条件の変更”といった視点で、実際にどのような間接材の費目見直しが可能なのか、具体的な事例も含めて紹介します。

 

 “仕様の標準化・見直し” “契約条件の変更”はそもそも、調達しているモノ/サービス自体が現在の事業状況に照らし合わせ必要十分なのかという視点で見直します。取組みを段階別にみると下記の3つとなり、実務担当者様であればPhase1から順に検討していくのが良いでしょう。

 

“仕様の標準化・見直し” “契約条件の変更”のアプローチ
 Phase 1. 支社/拠点/店舗ごとのバラつきを是正
 Phase 2. 事業状況に合わせた商品/サービス/契約書の最適化
 Phase 3. 既存コストをゼロにする破壊的イノベーションの活用

 

Phase1:支社/拠点/店舗ごとのバラつきを是正

 広域に渡り多店舗で事業を展開している場合、地域や店舗ごとのニーズに対応するため、個別拠点ごとにモノやサービスを調達している例は少なくありません。もちろんそういったニーズの違いに対応することは素晴らしいことですが、一方で全社的な基本方針やガイドラインがある上で対応している場合と、拠点ごとで完全に現場任せの場合では大きな違いがあります。典型的な現場任せの場合は、モノの仕様やサービスレベルにかなりのバラつきが散見されます。

 

例1

ビル施設管理

想定削減率 ▲4%~▲20%
課題 ・拠点ごとに管理会社を使う/使わないがバラバラ
・拠点内でも、直接契約している費目とそうでない費目に明確な基準がない
  (エレベーター管理や電気設備点検は直接契約とする、等)
見直しアプローチ ・管理会社の活用ポリシーの明確化
・例:管理が煩雑な清掃や人的警備は全社的に管理会社に一任
・例:手間がかからない費目はすべて直接契約で管理料コストを削減

例2

レンタルマット

想定削減率 ▲6%~▲35%
課題 ・店舗ごとでマットの仕様がバラバラ(色やグレード)
・全社的な統一単価の取り決めがない
・マットの交換可能な時間帯が限定的で、効率的な交換ルートが組めていない
見直しアプローチ ・統一した仕様を一括発注し、ボリュームを活かして製造コストを低減
・マット交換の時間帯緩和により、最適な交換/回収ルートやスケジュールを設計

例3

清掃

想定削減率 ▲3%~▲9%
課題 ・定期清掃の頻度や時間、及び実施箇所や清掃方法が拠点ごとにバラバラ
・全社的なガイドラインはなく、清掃業者へ見積もりや仕様を丸投げ
・現場での清掃作業の実態を把握できていない
見直しアプローチ ・全社的に最低限維持すべきサービスレベルを規定
・定期的に現地調査し、拠点ごとのニーズに応じてサービスレベルをカスタマイズ

例4

廃棄物処理

想定削減率 ▲7%~▲15%
課題 ・ゴミの分別や処理方法が拠点バラバラ
・現状の廃棄物の排出量を把握できていない
・一部、産業廃棄物に関わるものを一般廃棄物として処理している
見直しアプローチ ・ゴミの分別だけでなく、資源ごみは換金化している等、全社的なガイドラインを明示
・正確な廃棄物の処理量を把握
・コンプライアンスの観点から処理業者の信頼度調査も実施

 

 このように拠点間で整合性がないものを最低限必要なレベルで統一することで、単価の低減によるコスト削減効果も期待できます。

 

Phase2:事業状況に合わせた商品/サービス/契約書の最適化

 Phase1では、支社/拠点/店舗のバラつきに関して、現場担当者様がある程度時間を割けば取り組みやすい内容です。そこから現状の事業に最適な条件へと標準化していくことで、より更なる単価の見直し、場合によっては品質改善も可能となります。単なるバラつきの是正ではなく、もう一歩踏み込んだ標準化の事例を見てみましょう

 

例5

現金輸送

想定削減率 ▲8%~▲25%
課題 ・毎日、店舗の現金(=売上)を物理的に回収することが前提
 (日別売上を管理することと、現金回収は本来別問題)
見直しアプローチ ・大型の入出金機導入、つり銭量の調整により、現金回収頻度を週2-3回へ低減
 (回収頻度を減らすことで、大幅な価格低減を実現)

例6

損害保険

想定削減率 ▲20%~▲38%
課題 ・毎年複数の保険会社から見積りを取っているが、全て代理店任せ
 (大手代理店は手数料収入なので、保険料を引き下げる提案には消極的)
見直しアプローチ ・複数の建物/工場/事業所別の保険契約を一つの包括契約へ集約
・グループ会社の損害保険を一つの契約へ集約
・最高評価額の拠点の保険金を上限額に設定することで保険料を削減
・保険料は年払いのまま、契約期間を複数年化
・許容範囲内の小損害は、1事故あたりの免責金額を設定
・「防災管理規定の策定」「防災訓練」「ビル内禁煙化」などの防災対策
・水害などの発生の可能性がないものへの保険項目は解除

例7

チラシ印刷

想定削減率 ▲7%~▲28%
課題 ・店舗ごとに営業方針が異なり、チラシを打つ頻度や作業工程がバラバラ
・スケジュールに余裕がなく、残業時間が多く、チャーター便なども頻繁に活用
見直しアプローチ ・使用している紙やインクの品質は最低限のレベルに見直し
・デザイン/校正/製版/印刷/配達の工程とスケジュールを見直して標準化
 (業務プロセス自体を見直す=BPR)

例8

POS保守

想定削減率 ▲17%~▲45%
課題 ・導入時期に締結したフルメンテナンス契約をそのまま継続している
 (実際の年間メンテナンス活動内容とその料金が見合っていない)
見直しアプローチ ・導入後にトラブルがなければ、その後は都度メンテナンス契約へ変更
・合わせて、故障時の対応や部品の費用は定額の損害保険で賄う
・年間活動報告書を確認し、実質意味のない定期点検等はサービスから外す

 

Phase3. 既存コストをゼロにする破壊的イノベーションの活用

 最後には標準化の枠を越えて、抜本的にソリューションを見直すことも可能です。特にIT領域では技術革新が速く、従来のモノ/サービス自体が不要になることも珍しくありません。

 

 例えば、従来はIT システムを構築する際に、サーバーやネットワーク機器を購入(またはリース契約)し、自社の建物内に設置・運用(オンプレミス)していましたが、今後は徐々にクラウド化が進み、ITへの初期投資という概念もなくなるかもしれません。そういった破壊的なイノベーションの中で、現在も活用可能なものを幾つか見ていきましょう。

 

例9

旅費交通費

想定削減率 ▲23%~▲75%
課題 ・通常の社内打ち合わせのために本社/地方への出張が頻繁にある
・年々、交通費及び宿泊費が右肩上がり
見直しアプローチ ・ビデオ会議/電話会議システムの導入により、出張自体を削減
 (どうしても対面が必要なものだけ、上司の許可制で決裁)

例10

固定電話/専用回線(メタルケーブル)

想定削減率 ▲38%~▲75%
課題 ・昔からの固定電話回線をそのまま使い続けている
・全社でどういった回線が何回線あるか、把握できていない
見直しアプローチ ・有線ネットワークをモバイル(無線ネットワーク)へ切替
 (固定の専用線を構築する敷設費用が不要になり、運用料金も大幅削減)
 (マルチ無線ネットワークを活用すれば、同品質のサービスレベルを実現可能)

例11

社用携帯電話/スマートフォン

想定削減率 ▲28%~▲65%
課題 ・社用携帯電話/スマートフォンを購入し、社員に携帯させている
・iPhoneを導入している
見直しアプローチ ・私用のスマートフォンへ2in1システムを組み込み、私用と社用を1台で使い分け
  (会社側での端末を購入は不必要)
・中国/台湾製の安価なスマートフォンを活用

 

 このように一言でコスト削減といっても、“仕様の標準化・見直し” “契約条件の変更”まで踏み込むことで実質は業務改善(BPR)まで実現することになります。現状の事業のオペレーションや既存取引先様を変更したくないという担当者様の意向も分かりますが、毎年の条件見直しとは別に、別途第三者が更に一歩踏み込んで見直すことで、大きな削減成果を実現できる可能性があります。

 

 

株式会社プロレド・パートナーズ 

 

 『ターンアラウンド(企業再生)』『エネルギー・間接材のコストマネジメント』『CRE戦略』に強みを持ち、完全成果報酬にてコンサルティングを手掛ける国内唯一の戦略コンサルティングファーム。
 クライアントは、食品スーパーやドラッグストア等の小売業をはじめとして、流通、製造業、学校法人や銀行など、上場企業や大手企業が中心。PEファンドからの依頼も多く、企業の収益力向上に貢献している。
 コストマネジメントにおいては、間接材(人件費研究開発費を除く)だけでなく、直材までカバーしており、1,000社以上の実績がある。

 コーポレートサイト:http://prored-p.com/

 

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