DXが売場を情報メディアに変えた! インストアプロモーション進化のゆくえとは

宮川耕平(日本食糧新聞社)
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DXで売場は情報メディアに

 店内放送を使った情報発信には研究の余地があるように思いますが、より一般的にこれからのインストアプロモーションの進化を担うのは、マンパワーよりもデジタルの領域になるのでしょう。すでに店舗には大小さまざまなサイネージが設置され、人の代わりに、またはPOPよりも目立つ方法で商品情報やセール情報を発信しています。

店頭は効果測定が可能なプロモーションメディアに進化(カスミ フードスクエア白岡店)

 単に情報を伝えるだけではありません。これらは、告知の効果を測定できるマーケティングツールとして進化しています。U.S.M.Hのサイネージシステムは、動画の試聴人数や年齢・性別、試聴時間などを計測してデータ化していますし、イオンリテールが導入を始めたサイネージシステムは、前に立つ人の年齢・性別に合わせて映像を変えるといいます。トライアルグループのRetail AIが提供する「スマートショッピングカート」の備え付けモニターには、使用する人の購買履歴などに基づいてクーポンが表示されます。

 店内はプロモーションの映像と音に溢れ、しかも顧客の行動もデータとして収集し、そのデータを分析することで個別プロモーションを精緻化しようとしています。売場は情報が回り続ける場になろうとしており、このように書くと何だか煩わしい感じもしますが、実際は情報の届け方と内容の巧拙により、有用にもノイズにもなるはずです。

 少なくとも店舗には買物をしに来ているわけですから、商品情報を届けておかしいシチュエーションではありません。打たれてうなだれる投手の帽子に、企業ロゴが映えるような脈略のなさとは違います。商品を山積みにした売場は、以前から一つのメディアでした。そこにDXが拍車をかけて売場は情報メディアへの進化を、それも猛烈な勢いで遂げそうな気配があります。

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